千駄ヶ谷かわせみ通信 |
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2006年12月8日
「かわせみ通信」はブログに引っ越しします。 かわせみ通信は、今後ブログに引っ越します。異動先は以下の通りです。 http://kawasemi21.cocolog-nifty.com/nut/ (千駄ヶ谷の翡翠) |
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2006年10月3日
残業賃金(時間外労働賃金)未払い額は天文学的数字か? 「不払い残業、1524社に是正指導 233億円を支払い」と10月2日の朝日新聞は報じました。 残業した従業員に規定通りに割増賃金を払わない「不払い残業」について、05年度に全国で1524社が労働基準監督署から是正指導を受け、支払った額が計233億円に上ったことが2日、厚生労働省のまとめで分かった。企業数は、同様の統計を取り始めた03年度以来最多で、金額も前年度を約7億円上回った。 指導を受けた企業は前年度に比べて87社の増。対象従業員は計16万7958人だった。(中略)この集計の対象は不払い額が100万円以上の企業のみ。100万円未満も含めると、指導全体は2万件強とみられるという。 NU東京に相談に訪れる人は、多い人で年2000時間以上のただ働きがあります。むしろきちんと時間外労働分賃金を払っている会社が希、というのが実状です。払っているようでも、1時間未満の残業をカットするなどの手法をとられている場合もあります。だいたい一人あたり年100〜200時間の未払いがあるのでは? 相談を寄せる人が年間200人として、平均未払い時間を100年あたり時間と低く見積もっても、1年間で2万時間、2年間は時効にならないから、4万時間の未払い時間外労働があることになります。その金額は、時給換算で1000円と、これまた低く見積もっても、1250円(1.25倍だから)×40000で、5千万円の未払いという計算になる。わずか200件の相談でも5千万円の未払い! 日本全国でどうか?と考えたとき、とても200億や300億のレベルではないと思います。それは国家予算に匹敵するような、天文学的な数字になるかもしれません。 ☆以下は、時間外労働・残業業を考えるときのポイントです。 1、営業だから時間外賃金は払わなくてよい、ということはありません 2、管理職だから時間外労働賃金をもらえない、ということはありません 3、年俸制だから時間外労働賃金を払わなくてよい、ということはありません 4、残業分手当があるとして、時間外賃金が払われない場合でも、労働時間数によっては請求できます 5、早出(早朝会議や清掃など)も時間外労働になります 6、ただし、時間外労働分賃金を請求するときには、証拠が必要です (スズメ) |
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2006年8月19日 国外からの「研修生」受け入れは、原則的に停止すべきだ (ほととぎす)
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2006年7月13日 東京の日本橋周辺で雇用トラブルが増加中? 春頃から気になっていたのですが、私たちNU東京に寄せられてくる労働相談で、雇用トラブルに直面している人が働いている会社の所在地として、東京の中央区しかも、日本橋から銀座にかけてが多くなっています。 銀座、京橋、日本橋、築地・・・・。 年収で見ると600万円から800万円の40代から50代(男女問わず)の労働者が、減給や大幅な労働条件変更あるいは退職勧奨に直面している、そんな相談が目立つのです。 私たちの組合事務所は渋谷区千駄ヶ谷(といっても代々木駅近く)にあります。このため、通常は渋谷区と新宿区あるいは港区という、いわゆる東京西南部からの相談が多いのです(近いと、相談しやすいし、事務所所在地の雰囲気もつかめるし)。 ところが、最近は、中央区の銀座・日本橋界隈が多い。これはどうしたことでしょうか? どちらかというと「恵まれている」ともいわれる(実際は、サーービス残業を含む「過労働」で、年収を維持している場合が多い)、労働者達になにかが生じ始めているのではないかと思うのです。 日本経済は回復基調にあるとされ、金利の上昇やらもいわれ始めていますが、この「恵まれていた」労働者達に、雇用トラブルが多発している状況は、人件費削減と労働強化がさらに進んでいるということではないか?と思わざるを得ません。実際に、企業業績が悪くない企業でも、労働条件の切り下げが進められているのです。 (ユリカモメ) |
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2006年5月19日 賃金未払いが続いたら、働いてはならない! 昨年来、賃金の未払いについての問い合わせ相談が目立つようになってきました。 6ヶ月以上未払いという相談も複数件あります。また数ヶ月未払いや、欠配が続いた上での完全未払いの発生などの相談があります。 業種的には、いわゆるベンチャー企業系、金融商品系、人材派遣系が目立ちます。企業を立ち上げてはみたものの、資本金を食いつぶした挙げ句、賃金が払えなくなってしまうというケースが多いようです。 政府は好景気というものの、今年4月の中小。零細企業の倒産件数は昨年比で3割増という報告もあります(帝国データバンク)。 また、このように倒産・賃金未払い状態に陥る企業のほとんどで、残業分や休日労働分の賃金が支払われていませんし、労働時間管理もいい加減です。もともと、社会的責任を果たせないような経営者が興した企業が潰れているということですが、この背景には、労働者の労働条件など考えなくても良かった労働力の買い手市場(不況下での求職難)もあったと思われます。できるだけ安く遣い、労基法も守らないで労働者の権利を無視するような企業は、結局は企業経営も出来ないということです。 ところで、労働相談を寄せる人の中には、賃金が何ヶ月も払われていないのに「働き続けている」という人がいますが、これは間違いです。二度賃金未払いがあれば倒産と同じです。経営者はきまって「もうじき資金繰りがつく」「だれだれからお金が入る」などと言いますが、ならば、そのお金が入って未払い賃金が精算されるまで働いてはならないのです。2度不渡りが発生した場合「事実上の倒産」といいます。労働債権は一般債権よりも優先することを考えれば、2度の未払いは「事実上の倒産」といって良いのです。 賃金未払い企業については、それを「倒産企業」として対処する必要があるのです。 会社法改正によって「誰でも」「簡単に」会社が興せるようになりましたが、社会的責任・雇用責任を持たない「経営者」が多く発生することも予測できます。雇われる側は「未払いは倒産と同じ」という感覚をしっかり身に着けてください。 (カルガモ) |
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2006年4月6日 若い労働者をめぐる雇用問題 経営側の一方的解雇を容認するフランスの若者向け雇用制度(CPE)について、フランスの高校生、大学生、若年労働者は一斉に反撃し、労働組合を動かしつつ政府に制度の撤廃を求めています。 フランス全土で参加者が300万人を超える集会・デモを2回打ち抜いた、フランスの社会運動の底力を改めて知らされた感があるのですが(さすがは革命の国です)、さて、わが日本は? と考えるとずいぶん状況が違います。 政府は、ニートとか引きこもりとか言われている若者をなんとかして「働かそう」としています。それは近い将来に必ず訪れる、日本の深刻な労働力不足を見越してのことだと思うのですが、なかなか上手くはいっていないようです。 誰の目にもはっきりしてきた、富める層と貧しい層の階層の分離、社会的格差の拡大が、若い労働者の労働意欲を奪っているのでしょうか? 頑張っても、頭が良くても、せいぜいホリエモンではやる気が出ないかも知れません。結局は小泉首相をはじめとする政界の二世、三世、四世たちや、企業経営者の子息達の独り勝ちではないか? という感は確かに強くあります。しかし、若い労働者が働きたくない理由はそれだけでしょうか? 労働相談を受け付けていると、いわゆるフリーター的仕事や、ベンチャー企業(特に若い人が多く働くIT関連企業)での、労働条件、労働環境の悪さに驚きます。労働基準法など無いに等しい労働条件、極低賃金(残業分賃金を払わなかったりするために、きちんと計算すると時給500円程度のこともある)、賃金未払い、二重、三重の違法派遣、会社備品の自腹決裁などなど、奴隷的な労働環境まで生まれています。 また、大企業や有名ブランド企業あるいは官公庁などの現場で働く労働者(入札によって仕事を得た企業に雇われた者、さらにその企業に派遣?された者達が働いています)の労働条件など、見事なほど労基法違反であることが多くありますが、このような職場でも若者達は労働者としての「社会的経験」を積んでいるのです。 劣悪な環境で働いてきた経験を持つ、20代あるいは30代の労働者と意見交換をすると、労基法で定められている最低水準でも「夢のよう」に感じるといいます。 いわゆるフリーター時代の、劣悪な労働条件や、若者が雇用されやすいIT企業の労基法遵守が強く求められるのではないでしょうか? 政府はいま「ホワイトカラーエクゼンプション」などといって、ホワイトカラーならば労働時間制限無しの法を整備しようとしていますが、それ以前に、全ての職場、とくに若者がアルバイト、日雇い、派遣などで働いている職場での労基法の遵守を徹底することが必要です。 働くことは損をすることや社会的不公平感を強く感じる、会社・職場が多く存在している限り、若者達は働くことについてネガティブであり続けるのではないか? と思うのです。 さて、話はフランスに戻りますが、「解雇自由は許さない」との闘いが高揚する背景に、私は、フランスでは労働に関わる法律が、かなり強く社会を規定していると感じました。日本では法律があっても、無視する経営者が実に沢山いるのですが、フランスでは法律によらないと経営者も簡単には解雇できないということなのだ、とフランスと日本の労働者をめぐる環境の違いを強く感じもしたのです。 フランス革命やパリコンミューン、五月革命は、伊達ではないのだと思いました。 (ゴジュウカラ)
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2006年3月9日通信(3月28日に一部訂正) 退職絡みの嫌がらせ問題 労働相談の最近の傾向は、「会社が辞めさせてくれない」あるいは「退職(次の就職先が決まっているなどの場合)を上手く行うにはどうしたらよいか」という、自発的退職に絡む「退職問題」についての問い合わせが増えていることと、職場における「いじめ」の相談がめだつということ。「労働組合」についての質問も増えてきています。 自発的退職をめぐる相談は昨年から特にめだっている。これについては、劣悪な労働条件下にある会社から労働者が逃げ出しはじめたと言えなくもない。そして「いじめ」の相談は・・・。 会社・職場での「いじめ」あるいは「嫌がらせ」については二つの傾向がある。一つは経営者自らあるいは、経営者の意を受けての嫌がらせ(怒鳴る、罵倒する、人格を否定する)。もうひとつは、上司や同僚達によるもの。 10年ほど前には、人員整理・リストラの手段として「嫌がらせ」が行われた。それは組織だったもので、人員削減計画に基づくものであった。5年ほど前からは、嫌がらせに関する相談がめだたなくなくなり、過労働による体調不良やメンタルヘルス問題が深刻な問題として寄せられるようになった。 そして、現在はまた、いじめ、嫌がらせに関する相談が目立っている。 この10年間、企業は人員整理・リストラや成果主義(実際はデタラメ)の導入をおこない、組織的かつ人員的ゆとりが無いし、社員相互の仕事のシェアや助け合いもなくなってきている。そこに来て、政府の言う「企業業績の回復」である。実際は回復していないにも関わらず、企業は(とくに判断能力や経営センスのない経営者は)なにかと動きたがる。動こうとしても、実際に企業の組織はこの10年間に「贅肉」どころか「筋肉」までもすっかり落として「動かない」ようになっているのである。 経営者は、檄を飛ばす、怒鳴る、説教する、そして労働者にはストレスがたまる。あれこれと自己保身を考える「上司」達は。部下をいじめる・・・。部下は、会社から逃げる・・・。 経営者や「上司」たちは考える、様々な方法で社員を縛ろうとするが、それが不法行為であったりするのだ。仕事が出来ないと言って損害賠償を求めたり、ありもしない事件を作り上げて社員を脅したりする。そういう相談が多くなっている。 いま、企業は荒れている。 (ダイサギ) |
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2006年3月1日通信 かわせみブログ始めました 3月1日から「ココログ」でブログ始めました。 この「かわせみ通信」はいままで通り、月一回ペースでやっていきたいと思います。 http://kawasemi21.cocolog-nifty.com/nut/ ↑これがそのアドレスです。 |
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2006年1月26日通信 ライブドアの「功」「罪」っていうけれど ライブドアの問題について、「確かにやりすぎた」としつつも、「その功罪について」きちんと捉えておくべきだ、との論調が目立っている。 コメンテーターとか、なんとかアナリストとか、経済学者とかが、そんな「功罪」を語っている。 「罪」のほうは、既に堀江代表はじめ幹部が逮捕されている、その容疑についての「罪」であろう。株式市場をいびつにし、マネーゲームに終始したということ。 偽計とか、粉飾決算については、おそらく犯罪といえるのかもしれない。また、東証マザーズ上場2千数百社のうちのライブドア1社が、その全体の株数の何割も占めるというのは異常この上ないし、圧倒的な数のライブドア株(100分割を繰り返し、ウイルスさながらに急激に増殖した)が一斉に動けば、市場機能は麻痺する。これらを「罪」というのであろうか? それともIT産業と呼ばれている業界あるいは企業が、白い目で見られるようになったことの問題か? 「虚業・起業家」を目指す若者が増えたことは、社会的には「罪」か「功」か? ところで、「功」の方はといえば、フジ・産経グループの買収に象徴的なこと、プロ野球への参入問題で示されたこと。すなわち閉鎖的企業世界に切り込んだことや、「会社は誰のものか」と問いかけたことであるらしい(これらのことについて「企業にコンプライアンスを求めた」とも評価されているらしい)。 ブログの普及にもおおいに貢献している(ブログが普及することが「良い」ことであるかどうか? そう簡単には結論は出ないと思うが)。 それらが本当に「功」なのか? すくなくとも、企業は「そこに働く労働者のものでもある」という立場に立つ者としては、「功」とは思えない。労働者の生活を無視して、株主と企業役員は勝手放題なことをやってはならないのである。また、ライブドアやIT業界で罷り通っている労基法等の無視についてはまさに「罪」そのものでしかない。 ライブドアが「企業のコンプライアンスを求めたこと」が「功」であるかのように、今朝のテレビで某先生は語ったが、実際は、法なんて守っていないのである。自社については法が守れない、他社には法の順守を強く求めるということである。労働者の雇用や労働条件、労働環境に関して法を無視するような企業は、そもそも不法企業なのだという意識がかけていると、その企業はいずれ大きな「罪」を犯すことになるのである。 (かわせみ) |
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