TOPページへ  NU東京について

   

1. 労働組合とは?

働く人々が闘ってきた歴史の成果

  働いている人達(労働者)は、人間の数千年の歴史の中で、折にふれて、自分達の労働条件が改善されるように求めて、使用者側に働きかけて来ました。労働者は、時には凄まじ弾圧を受けながらも仲間を集めて、行動し、闘い、要求する内容を獲得してきました。
 例えば、紀元前ローマの奴隷たちは幾度となく大きな反乱を起こし、自らの待遇の改善を求めてきました。また、ローマ市民であった兵士達も、時として自分たちの要求を為政者に認めさせるために死を覚悟しながらも団結してストライキを行いました。1日8時間労働制は19世紀末にアメリカやヨーロッパの労働者が団結をして勝ち取りました。この8時間制獲得闘争の歴史は5月1日のメーデーの起源にもなっています(いま、日本ではサービス残業が横行し、メーデーが生まれた時代よりも過酷といえます)。ポーランドの労働者や韓国の労働者が独裁的な権力に屈せずに団結して自らの要求を掲げて闘いつづけ、全世界の人達の共感を呼んだのは20〜30年ほど前のことです。
 みなさんは、日本国憲法に「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。(第28条)」と明記されていることを一度は見たことがあると思います。わたしたちが自らの働く条件(労働条件)について経営者に要求するとき、一人ではなく仲間を集め、要求を整理し、団体をもって経営者と交渉することを憲法は保障しているのです。そして、この日本国憲法の条文は以上に述べたように、長い間労働者が仲間を集めて行動し、闘いつづけた成果が日本の憲法に反映されているということです。

労働組合活動は憲法、労働法などで保障されている

 労働組合法という法律があります。この法律は冒頭に「労働者が使用者との交渉において対等な立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること」と述べられているように、日本国憲法第28条を受けて、労働組合のアウトラインを示し、労働組合の活動を保護するために制定されています。
 私達が一般的に「労働組合」と言う場合、この法律に示されている「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合体」(労働組合法第2条)のことを言います。
 労働組合は、要求を獲得するために仲間を集めて会議開催し(最低年1回は組合大会開催し)、必要に応じてストライキをふくむ労働争議権を行使します。労働争議行為とは、「(当事者としての労働組合が)その主張を貫徹するために、業務の正常な運営を阻害すること」(労働関係調整法第7条)で、労働組合に認められている権利です。労働組合の活動に経営者が介入することや、労働組合を差別すること、組合の要求する団体交渉を拒否することは「不当労働行為」として、労働組合法第6条で禁止されています。

加入(あるいは結成)しなければ活用できない労組法・労調法

では、なぜ私達は労働組合に加入する(あるいは結成する)必要があるのでしょうか?
 労働組合は労働者が自主的に結成し、自主的で民主的に運営されるものです。労働組合法では労働組合活動が保障されています。しかし、労働組合法に定められた諸条項は労働組合を結成し、または労働組合に加入している労働者、あるいはそれを目指している労働者にだけ適用されるのです。例えば、労働基準法という法律があります。労働条件としての最低基準を定めた労働基準法には有給休暇のことや時間外残業の割増のことなどが定められ、使用者はだれでもこれを守らなければなりません。一方、労働組合法(労組法)や労働関係調整法(労調法)は、労働組合(労働組合の組合員)以外には適用されないのです。より良い労働条件を求め、労働者が仲間を集め、経営者と交渉し(団体交渉し)、その結果を労働協約として結んで、労働条件の向上を実現するためには労働組合に加入する(結成する)必要があるのです。

2. NU東京は、一人でも加入できる労働組合です。

経営者以外は基本的に誰でも加入できます

 労働組合(ユニオンと呼ばれることも多くあります)は、使用者(経営者)側に立つ者以外は誰でも結成することができます。一般的に言われてきた「管理職は組合に入れない」ということも俗説であり、正しくありません。労働組合の自主性を保障するために、人事権のある者や経営者が労働組合に加入することができないということです。たとえ肩書が○×部長であっても実際には一般の労働者となんら変わらない場合や、人事に携わっているといっても重要な配転や、採用に発言権のない管理職などは、当然労働組合に加入できます。
 また、正社員でない(パート、臨時)から労働組合に加入できないとか、国籍が違うから加入できないということもありません。また、出身地や性別によって差別されることもありえません。

一人でも入れる労働組合

 労働組合は複数の労働者が集まって作るものだから、一人で職場で孤立していたり、同じ企業・事業体の者だけで作るものでなければならないという考えも間違いです。労働組合とは基本的に、一人一人が加入するものです。
 また、労働組合は、あくまでも使用者と独立し、自立して運営されていなければならないものであり、「A株式会社」という企業・事業体の労働者が「A株式会社」という企業・事業体の労働者で作る労働組合以外に加入できないということはありません。さまざまな会社・事業体に働く労働者が集まって労働組合を作ることも可能です。このような労働組合は「合同労働組合」と呼ばれています。現在、全国各地で労働基準法違反事例や、労働組合作りの問題等、さまざまな問題に取り組んでいる「地域ユニオン」は、そのような組織です。また、「管理職ユニオン」(東京、大阪など全国に5ヶ所)のように、いままで組合から排除されてきた人達(たとえば管理職)に門戸を開いた合同労働組合もあります。
 これらの「ユニオン(合同労働組合)」は、企業や法人に関わりなく一人でも加入できるところが大きな特徴になっています。日本国憲法や労働組合法によって保障されている労働組合としての「団結権」「団体交渉権」「団体行動権=労働争議権」は、そのユニオンにあり、たとえ一つの企業・事業体に一人の組合員しか存在しなくても、ユニオンに加入すれば、そのユニオンが企業・事業体と団体交渉を持つことができ、ストライキ権を行使することができるのです。合同労働組合であるユニオンは一つひとつの企業・事業体から独立しているのです。

私達、NU東京(労働組合ネットワークユニオン東京)は、このような、一人でも加入できるユニオン、職種や業種そして雇用形態にこだわらないユニオンです。

 地域的には、東京23区の南西部および中部地域ををカバーしています。まIT・情報処理労働者やアパレル、福祉職場労働者については都内全域をカバーしています。

3.NU東京に入って問題解決をめざそう!

NU東京(労働組合ネットワークユニオン東京)は労働相談の受付から労働組合(ユニオン)への加入、職場単位での労働組合の結成から、日々の組合活動まで、相談を寄せられた方と対話しながら、問題を解決していきます。
 NU東京が結成されたのは1998年2月のことです。不況が深刻化し、倒産が相次ぐ中、人員整理・リストラが全国的に行われる、失業率が急速に高まる社会情勢の中で、比較的若い労働者からの労働相談がNU東京の母体となった東京管理職ユニオンに多く寄せられるようになりました。このため、東京管理職ユニオンのメンバーの中の非管理職メンバーが中心となってNU東京が結成されました。

NU東京が結成されてから今日までの約19年間に、NU東京に寄せられた労働相談は6000件を超えています。そして約700名がユニオンに加入して雇用をめぐる問題に取り組んできました。

NU東京は東京地域に働く方、東京地域に住んでいる方を対象としたユニオンですが、必要に応じて全国各地の地域ユニオンや職能別ユニオン等と連絡を取り、連携をして問題の解決を図ります。相談に来られた一人ひとりの立場を尊重し、最も良い解決法を相談者と共に考えていきます。
 全国のユニオンとのネットワーク、相談者の地域とのネットワーク、労働問題解決のため専門的な知識を持つ団体や専門家とのネットワークを活用して共に問題を解決していきましょう。

2016年3月29日

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