千駄ヶ谷かわせみ通信 2003

2004年分

この、ページには、NU東京の活動を通して、組合員が考えた様々なことを、不定期的に掲載いたします。

カワセミのを漢字で書くと「川蝉」とか「翡翠」と書きます。翡翠とはヒスイのことですが、背中の輝く青色と緑色、腹のオレンジ色の美しい水鳥であるカワセミは、本当に水面を飛ぶ宝石のようです。カワセミは、NU東京の事務所近くに出没します。明治神宮の池、新宿御苑の池などで、樹上から急降下して小魚を捕らえる姿を見ていると、しばしストレスを忘れます。腹のオレンジ色はNU東京のユニオンカラーでもあります。

 

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2003年12月18日通信

2割を割った労組組織率。企業一体化組合の未来は?

 厚生労働省の労働組合基礎調査によると、今年6月末現在、日本の労働組合推定組織率は19.6%(労働組合へ加入している労働者は1053万人、組合数は6万3955)で、1947年にこの調査が始まって以来、初めて20%を割った。組合組織率は28年連続して減少しているという。

 組織率が減少している背景には、不況、リストラによる人員整理、パート労働者や派遣労働者の増加などが挙げられている。なるほど・・・と、一瞬思ってしまうが、まてよ!それなら、失業率が低かったバブル経済の時は組織率は増加したのか? それに、不況、失業の時代こそ労働組合の存在感は高まるのではないか? 日本経団連は2004年には賃上げどころか、ベースダウンも行うと公言しているではないか! いまこそ、労働組合が闘わねばならない時ではないか? 

 そう考えると、組合組織率の低下は、労働組合の「あり方」が実際に労働組合を必要としているであろう労働者と合っていない(ミスマッチ?)、あるいは労働者の側に労働組合が存在していないということが大きな原因ではないかと思う。

 労働組合のイメージってどんなものだろうか? 日本の労働組合の20%弱の組織率を「支えている」のは、大企業労働組合と公務員労働組合である。しかし、彼らは「恵まれた階層」に属するともいわれている労働者であり、また、大企業労働組合は労働組合員自身が労働組合に「組織されている」いるという帰属意識も極端に低い。なぜ、給料の中から組合費が「天引き」されているのか? と多少不満を持ちながらも、「これが企業というものか」と納得している労働者が多いのではないか? 組合の幹部は会社の人事と表裏一体でもある。加えて、労働組合の「専従者」(数百人の専従を抱える組合もある)達にしても、会社と闘いながら苦労して組合を結成した経験など無い。その世代の人たちはすでに鬼籍におられる。会社人事の一環として組合に「出向」しているという感覚か(違う人、組合活動に情熱を傾けている人も希にはいるが)?

 ようするに、労働組合を「作る」という発想がなくなっているのでは? いや、そもそも労働組合っていうのが会社とは違った「団結権」行使のための組織である、ってことがわからなくなっている? 会社に物申す組合、企業とは違った立ち場に立つ組合を作るときは、経営側の猛反発を受ける。そして、加入している組合員と徹底的に討論しながら活動の報告を決めていく必要があるのだが、はじめから「会社の人事」で組合を運営している者にそんなことはできようもない。そもそも、いまある組合が組合的でないのだからしょうがない。

 新しい労働組合ができない、組合員が増えないと、組合はどんどん小さくなってくる。組合のお金もなくなってくる、組合の専従が雇えなくなる、専従のリストラをする、組合は機能停止する・・・・。そういう近未来が見えてくる。

 必要なことは、いまいちど、企業利益、経営と違った立場にたつ労働組合を作ることである。労働者の生活を守るためには、とにかく企業から自立すること。企業利益に追随しない組合、つまり不況下でもバブル経済下でもきちんと労働者を守る組合。それが求められている。

(風邪ひき鴨)

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2003年11月27日通信

だいじょうぶか?内部告発保護法案

 企業(あるいは公的機関)が明らかに不当・不法なことを行っている場合、その企業内部で働いている者が、これを外部に知らせ、注意を呼びかけたり、企業が姿勢を正すように求めること、すなわち「内部告発」について、内部告発者を法的に保護していこうという動きが出ている。

 病院の医療事故隠しや、原子力発電施設の事故隠し、食品会社の原材料偽装などなどが頻発している中で、内部告発者を保護する、なんらかの法的・制度的とりきめが必要になってきているのだ。2004年には「公益通報者保護法案」が国会に提出される予定であるという。

 ところが、この「保護法案」、国民生活審議会消費者政策部会で検討され、その結果をまとめた最終報告(03年5月)が、さらに政府によって法案としてまとめられる過程で、著しく内容が後退しそうだ。まかり間違えば、「下手に内部告発など出来ない」内容、あるいは現在判例などで認められている内部告発が行い難くなる内容ともなりかねないという。

 ポイントはいくつかあるが、まず、内部告発者が保護される、すなわち内部告発によって解雇、降格、減給などにならないよう保護される「告発の内容」について枠がはめられそうだということがある。朝日新聞などの新聞報道によれば「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定する犯罪行為」「または、そのおそれのあるもの」としていることが挙げられる。すなわち「おそれのないもの」については告発者は保護されないということか?その「おそれ」は誰が判断するのか?この「内容」については日本経団連などの財界が「告発の乱用を防ぐ」ために求めているらしい。告発される対象の団体ともいえる「日本経団連」の意見を採り入れていたのではお話にならない。

 第2番目に、「内部での処理を優先する」ということがある。内部告発について、それをまず「内部」で行い、それでもダメだったら外部に告発できるというのである。しかも、内部の(つまり会社や公的機関内で)告発後2週間を経ても調査の通知がない場合に外部に告発できるという(通知がありさえすれば、どんな「調査」かは問われない?)!会社ぐるみ、組織ぐるみで行っている不正を告発することを考えれば、なにをかいわんやである。これでは外部に告発する前に内部で不利益を与えられ、かつ告発内容がもみ消されてしまう可能性が大きい。

 第3番目に、告発のために「外部通報」する、外部の機関あるいは団体、個人について「適当な者」であるかどうかの枠が設けられそうであるということがある。自由には外部に告発できなくなりそうなのだ。

 これでは、「内部告発防止法案」あるいは「内部告発もみ消し法案」といわれても仕方がない。

 11月27日夜、東京・主婦会館で行われた「内部告発者保護制度連続講座」(第1回)の講師として発言した、日本労働弁護団幹事長の鴨田哲郎弁護士は、以上のような危険を踏まえて、労基法で保護されているはずの、労基署への内部告発者すら十分に保護されていない状況を指摘し、現在認められている(裁判の判例などで)内部告発もできなくなるような法案ならば、ない方がよい旨、話していたが、まさに同感である。

(ツグミ)

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2003年10月15日通信

「訴えてやる!」といっても・・・。

 「訴えてやる!」という、勢いで、相談の電話を寄せる人が多くなってきたように思える。

 テレビでは、「この問題で裁判して、勝てるかどうか」という番組が結構良い視聴率を取っているみたいだけど、その反映か? 例えば、上司にキツイことを言われたから訴えてやるとか、会社が不正をやっているので訴えてやる!って、それで、「裁判したら勝てるでしょうか? お金をいくら取れるでしょうか?」という相談。

 れっきとした「公的」相談機関でも、「裁判ならできる」とか「訴えるしかない」みたいなことを平然と「アドバイス」するケースがある。これは、「うちではできないので、もしあなたの主張を通したかったら裁判でもやってみたらいかがですか」という、タライ回し的な意味で言っているらしいが、そう言われた方は「裁判なら勝てる」と思ってしまうみたいだ。実際に個人訴訟に「決起」した人がいるとか、いないとか・・・。

 だいたい訴訟なんてものは、テレビのように1時間枠できっちりすっきり片づくことはない。書面のやり取りだけで半年はかかる、証拠調べや証人尋問はそれからまだ先のこと。裁判所に行くだけでなく、証拠となる物を集めて整理したり、証言をしてくれる人を探したり、裁判所に提出する書類を作ったり、それらのためには弁護士と何度も打ち合わせしたりしなくてはならない。当然、相手側は嘘も含めて大反論する。金もかかれば時間もかかる。地方裁判所で勝ったからといって、会社が控訴すれば、まだ裁判は続く。意外にもすっきりしないのが裁判でもある。簡易な「労働裁判」制度もいま、検討されているが、検討されている段階でも、有効性や進め方について問題が多くある

 それに、わずかな未払い額や、上司の侮辱的言動に対する、ささやかな慰謝料請求など、どう考えても裁判費用との関係では割が合わない。自分が抱えている(あるいは巻き込まれている)労働問題、職場での問題を解決するのに裁判がよいのかどうか? 労働環境や労働条件に関して言えば、労働組合が機能する。 「訴えてやる」ことが必要な場合もあるが、現実は常に直視しておく必要がある。

(傍聴人スズメ)

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2003年9月9日通信

国民はサービス残業の「痛み」に耐えているって?小泉首相の病膏肓

 2003年9月8日月曜、自民党総裁選告示の夜、TBSの『ニュース23』に、小泉、亀井、藤井、高村の4候補が揃って登場。筑紫キャスター夏休みとのことで、若い佐古キャスターと某国営放送出身の草野キャスターの仕切り。脇を固めるは毎日新聞編集委員の岸井成格氏とTBS政治部の部長。現職小泉対反小泉を掲げる3候補それぞれに政策を問うことと相成った。

 さて、そのやり取りたるや、まったくもって目を蔽いたくなる惨状。TV局側は亀井の持ち時間オーバーを制御出来ず、ひたすらCMを挟むのに腐心し、小泉の口をついて出る暴論失言の数々に為す術も無し。

 曰く、「構造改革の成果が、ここへきてようやく出てきた。国民も改革の痛みに耐えて頑張っている。・・・サービス残業とかで・・・」<最後の部分、語尾不明瞭で若干聴き取り難かったが、ほぼかくの如き内容の発言>

 一国の首相が、労基法違反を、いけしゃあしゃあと是認して憚らぬとは! 厚労省・労基署もやっと重い腰を上げて、サービス残業、過労死の撲滅に取り掛かった矢先ではないか? 総理大臣の御墨付があれば、サービス残業、賃金未払い、労災隠し、やりたい放題で罷り通ることになる。いやはや改革の正体見たり無法者である。

 暴論なお続く、「構造改革特区にしたら、今までできなかった港湾作業も24時間可能になった」

 この特区なるもの、どこかのオメデタ経済学者の思いつきか知らぬが、労基法上の問題点、山のように積み残しての見切り発車、どれほど重大な悪影響必至か、この人の超ポジティブな頭の隅っこにも引っ掛かってはおらぬらしい。

 更に曰く、「官から民へ、素晴らしいことだ。国鉄も税金を使う側から納税するようになり・・・、ストだってやらなくなった

 もはやナントカの壁状態! 労組法に保障された労働三権を、いともあっさり否定してくれた。民が良いと言うのなら、一民間企業の労組・労働者のスト権行使に平然と口出す不当労働行為、支配介入を、総理大臣自ら公共の電波でやってのけるとは、この国の病膏肓(やまいこうこう)ここに極まるか。

 だがさすがに自民。他の3候補いずれも、この点に異存無く、結局誰が総裁になろうと労働者の痛みは続くどこまでも。それが判っただけ実りある小一時間だったと、我らもポジティブに解釈する他無いか。否、敵わぬまでも蟷螂の斧、一太刀振り上げてみんと存ずる秋の空なり。

 以上、『異論・反論・オブジェクション』風にアレンジしてみました。 

2003年7月11日通信

ビルマ(ミャンマー)を なぜ問題にするのか?

 このNU東京のホームページでは、ビルマに関する情報を掲載し、ビルマの民主化運動に関係するHPにもリンクしています。「なぜ、NU東京はビルマを?」との質問を受けることもありますので、「なぜ、いまビルマか?」ということで、述べたいと思います。

 著しく人権が抑圧されている 

 ビルマには合法的政府が無ありません。1988年9月の軍事クーデター(民主化を求める人々を大量殺害した)以降、軍隊が「政権のようなもの」を自称しています。では、そのビルマの現「政権」とはなにか?それは、軍事クーデターの首謀者達が作った暴力的で強圧的な「国家法秩序回復評議会」が、時とともに姿を変えて今日に至っているにすぎないのです。この組織の名称は現在は「国家平和発展評議会」とされています。 「国家平和発展評議会」は、軍の力を前面に出して、手前勝手な理由で、「反政府的」(民主的)な人々を次々と逮捕・投獄し、気ままに処刑を行ってきました。130を超える民族による5000万人のビルマ「国民」は、今も軍による恐怖政治下で暮らしているのです。

 なぜ、「政府」が出来ないのか?

  軍のクーデター後の1990年5月に「国家法秩序回復評議会」(当時)下で行われた、合法的な政府・政権を作るための選挙(憲法を制定する「制憲国民会議」議員選出のための選挙)で、「国家法秩序回復評議会」は大敗を喫しました。しかも民主化を求めるドゥ・アウン・サン・スー・チー(以下、スー・チーさん)率いる国民民主連盟が議員定数485議席中392議席も獲得(得票率は81%)するという「国家法秩序回復評議会」にとっての大敗北でした。もちろん「国家法秩序回復評議会」の監視の下での選挙だから、彼らは徹底的に不正を行いました。スー・チーさんを選挙の前に自宅に軟禁して活動できなくしたし、国民民主連盟の幹部も次々に逮捕して選挙活動ができないようにしました。でも、「国家法秩序回復評議会」の「敵」は81%も得票しました。彼らにとっては「最悪」の結果です。スー・チーさんを、とにかく自宅に軟禁しつづけ、民主化を求める人々を徹底的に弾圧しました。 

 1991年のノーベル平和賞の受賞者はスー・チーさんでした。国際的な圧力が「国家法秩序回復評議会」にかかりはじめ、経済制裁も行われました。政治的に超鈍感で粗暴な彼らもこれには困り、1995年に一旦スー・チーさんを「解放」しましたが、2000年8月にまた自宅に軟禁しました。とにかくビルマにおいて彼女の人気は圧倒的で、彼女の行く至る所で大衆は歓喜し、民主化を求める声が高まるからです。

 いま、どうなっている?

  現在、スー・チーさんは「投獄」されています。5月30日に軍関係者に拉致されたのです。一方、ビルマの民衆は、完全に破綻した経済下で生活に困窮しています。少数民族の人権は更に蹂躙されています。大学は断続的に15年も「閉鎖」されています。「学生が集まると危ない」(集会が持たれるから)ということで断続的に閉鎖されるらしいのです。近年、一時的に大学の授業を再開しましたが、それは大学を都市から離し、しかも学生寮は作らないという形で(学生寮を作ると、そこで学生が政治の話をするから作らない)、大学としてほとんど機能していないということです。これだけの期間、高等教育を受けられない状態が続くということは、ビルマの将来を考えるとき、極めて大きな問題です(軍政の当局者の子供らは外国に留学しているが・・・)。

  実は、スー・チーさんは今年5月30日に殺されかけました。事実、その時彼女の近くにいた30人の国民民主連盟メンバーが殺されたと言われています。彼女は、地方遊説の旅を続けていました。事件は、5月30日に彼女はビルマの北部で演説を行った後、次の場所に移動する途中で発生しました。とある村で、僧侶が彼女達一行に、村に寄るように願いました。敬虔な仏教徒である彼女は僧侶の頼みを無碍には出来ず、丁寧に対応していた問い事です。しかし、そこは危険な場所でもありました。怪しげなグループが後をつけてきていました。そして、彼女達一行は、軍政の息のかかっている大政翼賛組織に包囲される。包囲した者達は一気にスー・チーさん達の一行に襲いかかり、国民民主連盟のメンバーを殺したのです。スー・チーさんもけがをしましたが、一命はとりとめました。その後、軍が遅まきながらやってきて、彼女ら国民民主連盟の幹部を拉致・逮捕したのです。噂では、襲撃の実行者達は軍によって殺されたといわれています。スー・チーさんを呼び止めた僧侶は、その村の者ではなく、誰も知らない僧侶で、どこかに消えてしまっているそうです。  これが、つい5月30日の「事件」です。事件後スーチーさんは、首都・ヤンゴン近くの政治犯刑務所に移されています。軍は、「身柄を保護した」などと言っているようですが、全く理由のない拉致・監禁にほかなりません。

 なぜビルマを問題にするのか?  

 ビルマでは、粗暴な軍部による「国家平和発展評議会」が、民衆を抑圧し続けています。労働者は日々「国家平和発展評議会」によって無賃肉体労働にかり出されています(ILOがこの状態を問題にしたので、軍政は形だけは強制労働を「禁止」したが、実態は変わっていない)。自由な発言の場などありません。最近では「国家平和発展評議会」の主張を一方的に流す、ビルマのテレビやラジオで、スー・チーさんが「頑固である」とのキャンペーンを行っているそうです。

  一方、日本政府は、この「国家平和発展評議会」を支えています。欧米の経済制裁下でも、日本は「太陽政策」をとり続けてきました。しかし、その金は「国家平和発展評議会」当局者と日本の商社に環流しているだけで、ビルマの人たちの生活は悪化するばかりです。日本政府は「ビルマと日本の特別な関係」をよく持ち出します。確かに「特別」ではあります。建国の父、アウン・サン将軍は日本の特務機関のもとで独立のための軍事訓練を受けていました。そして、日本はビルマに侵攻し、ビルマ人を苦しめるとともに、20万人近い日本兵が命を失いました。戦後、日本政府は一貫してビルマに「援助」を続けています。しかし、日本政府が「援助」を続けているビルマは、世界で最も人権が抑圧される国となっています。日本には1万人近いビルマ人が政治的理由、経済的理由で本国を「逃れて」きています。しかし難民認定を受ける人たちはごく少数です。多くのビルマ人が無権利のまま働いています。NU東京にも毎年ビルマ人労働者から労働相談が寄せられています。加えて、在日「ミャンマー」大使館は、在日ビルマ人達から、税金すらとり続けています。一人あたり月1万円程度であるといいます。明らかに不当な二重課税です。  いま、世界中でビルマの民主化を求める声が高まっている。しかし、日本では、その声が極めて低いというのが実状です。ビルマの民主化の正否は日本にあると、多くの人たちが考えています。  私たちは「特別な関係」にある日本の労働組合として、ビルマの問題を考えたいと思います。

?ビルマ?ミャンマー? (国名変更の謎?)

 その国を呼ぶとき、「ビルマ」と呼ぶか「ミャンマー」と呼ぶか?日本ではいつの間にか、政府もマスコミもミャンマーと呼んでいます。しかし民主化を求める人や、専門家・学者のほとんどはビルマを使っています。  1989年にビルマの「国家法秩序回復評議会」(現、「国家平和発展評議会」)は世界に向けて英語表記をBurmaからMyanmarに変更するように求めました。BurmaとMyanmarは、ビルマ語のバマーとミャンマーに対応する英語です。バマーとミャンマーの語源は同じで、バマーはより口語的で、バマーには独立の父、アウン・サン(スー・チーさんの父)達が活躍した「我らビルマ人協会」(ド・バマー・アソシエーション)のイメージもあり親しみが持てる呼び名です。英語表記がBurmaでも、全く問題ありません。しかし、「国家法秩序回復評議会」はミャンマーを求めたのです(文語的で「速い」「強い」というイメージがある。「日本」でなく「大和」って感じ)。しかし、世界の多くの政府は今でもBurmaと呼んでいます。 驚くのは日本政府の態度です。日本政府は、「国家法秩序回復評議会」に求められるまま、100年以上も使ってきた、日本語としてのビルマ(「イギリス」「オランダ」「インド」「エジプト」などと同じようなもの。バマーでもミャンマーでもない「ビルマ」)を捨てて、求められてもいないのに、日本語での呼び方も「ミャンマー」に変えてしまいました。理由は「国家法秩序回復評議会」に求められたからとのことですが、この時期に昭和天皇の「大喪の礼」が執り行われ、政治的取引があったのではないかとも言われています。このような国名の「変更」も「援助」なのでしょうか?マスコミは右に倣えで、一斉に「ミャンマー」を使いはじめ、現在ではほとんどの新聞、テレビが「ミャンマー」を使っています。「ビルマ」はどこに行ったのでしょうか? 

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2003年5月9日通信

労働者使い捨て時代に、労働組合はどこにいった?

無ければ作ろう労働組合。入ってしまおう労働組合。

 停滞する経済状況のもとで、いま、人員整理・リストラの時代は終わり、労働条件切下げ・リストラ(つまり、あくまでも安く使うこと)と、労働者使い捨て時代に入っている。

 賃金切下げ(しかも、長時間のサービス残業を強いられるので、3割〜5割の実質的賃金切下げすらおこなわれている)が一方では行われ、他方では派遣労働者の大量使用、有期雇用労働者の使い捨て的導入で、労使関係は圧倒的に使用者側に有利となり、個々別々に雇われる労働者は、雇用不安に陥りながらも、使用者の前では、自らの地位と僅かな収入維持のために「おかしい」ことを「おかしい」とは言えない状態になっている。

 人員整理・リストラの時代はまだ良かった?一緒に首を切られる仲間たちがいたし、それなりに企業の基準や方向性が明らかだった。しかし、いまは違う、企業の人事・総務すら「アウトソーシング」されている。社長は外資の雇われだったり、怪しげな外部「経営コンサルタント」に従順な2代目、3代目の若社長だったりする。労基法などの労働諸法など無視されっぱなし。会社側の一方的な意思のもとに決められる「年俸制」や、幾ら働いたか分からない基準なき「裁量労働制」やサービス残業(ただ働き)が当たり前になっているのだ。声を上げれば、契約更新拒否や、「成績不良」「業績悪化」などを理由にして解雇されてしまう。世の中の風潮は「解雇自由」であるらしいが、解雇されても雇用保険は昔ほど支給されない。失業率は実質10%とも12%とも言われているし、再就職後、いまの賃金を上回る可能性は薄い。

労働組合がある!あれ?どこにある?

 100人以下の企業では、100社に1社に組合があればいいほどらしい。東京都では組合に入っている人の56%が大企業で(しかも、急激に組合員が減っているらしい)、12%が公務員らしい。企業の組合といったって、その多くはいわゆる御用組合や、リストラのパンチドランカーになった組合らしい。それに、組合がどこにあるか分からない。運良く自分の会社に組合があって、組合役員にやっとめぐり合えても、「会社になんか言うなんて、やめたほうが良いよ」などと言われてしまう。それでも会社の不当な扱いに耐えかねて声を上げると、会社と一緒になって嫌がらせさえするのだ。どうなってるの?

 もっとも、組合が必要なときに、組合が無い、あるいは機能しない状態。これが現状です。労基法違反がまかりとおり、いつのまにか労働条件が改悪されているようなとき、労働組合が機能するかどうかは決定的です。でも、組合がない、あっても機能しない、ならば組合を作りましょう。あるいは一人でも入れる組合に入りましょう。ポイントは一つだけ、自分を含めて同じ労働をしている人たちの要求をまとめること、まとめられないときは、まず、自分の抱えている問題を整理して他の社員にも分かりやすくして会社に対して組合の要求として出すこと。あとは、すこしの決意と開き直り。組合にはいることは、簡単なことです。ただ、基礎知識が無いため、経験が乏しいため、つまらない失敗をしないように、先輩組合、ユニオン(合同労働組合)に相談をすることを忘れずに。

(ドバト)

2003年4月9日通信

あまりにも理不尽な市民殺りく戦争        

 いま、アメリカとイギリスを中心とした「合同軍」がイラクに侵攻し、バグダットをはじめ、イラクの各地で、連日多くの市民が殺されています。

 侵攻の大義名分すら明確でなく、ただ、「邪悪なフセインを打倒する」といって行われている「合同軍」の侵略戦争行為に対しては、世界各国で抗議の声が上がっています。それはフセイン独裁政権が人権抑圧をし続け、クルド人の独立運動(当然すぎる運動)を残忍な方法で抑えているからといっても、国連を無視した形で武力による、しかも多分に宗教色に彩られた「合同軍」の展開(フセイン政権転覆とイラク・中東の制圧)では、将来にわたる平和が訪れないのではないかという、世界中の人々からの当然の声です。

 そもそも、自らの軍隊を「十字軍」と位置づけた以降のブッシュ大統領の発言は神がかっており(自分が神の意志を執行する天使になったかのようです)、戦場となっているイラクは、まるで「ヨハネの黙示録」に示されているハルマゲドンです。災難を受ける人々も、また聖書に示されているバビロンやユーフラテス川の人々です。結果的に神の祝福を受けるのはイスラエルの選ばれた人々になるのでしょうか? 信仰によってアルコール中毒から救出されたブッシュ大統領は、自らの信仰によって「頑ななバクダットの民」を救出せずに殺りくしても、それを聖書の教えと言い張るのでしょうか?

 「合同軍」は言います。「攻撃目標から去らない民間人が悪い」と! しかし、疑わしく神がかったブッシュによる、疑わしい目的での侵略戦争に突如直面し、一方的に生活の場から「去れ」と言われても、人はなす術がありません。そして、そのなす術もない人々に対して、アメリカは、自らこそが持っている「大量破壊兵器」によって殺りく行為を平然と行っているのです。これはあまりにも理不尽であり許されることではありません。

戦争利権屋達の思い通りにはさせまい!

 いま、「合同軍」の軍事的勝利後の「戦後復興」が語られ始めています。しかし、この戦争によって大きな利益をもくろむ、石油利権企業と戦争産業、そして「戦後復興」の美名の下に利権をむさぼろうとしている各国企業に対して(これらの企業、集団、そしてイスラエルのシオニストこそ、ブッシュを戦争に駆り立てている「悪の枢軸」に他なりません)私たちは、今後、各国の市民・労働者と一緒になり、戦争と市民・労働者殺りくに関する責任を追及する世界的な包囲網を作り、彼らの思い通りにはさせないようにしなければなりません。

 まず、日本政府の「戦後復興支援」に目を向けましょう。疑わしくかつ残酷な侵略戦争に荷担した小泉政権を糾すとともに、イラク市民・労働者の生活を破壊した上で利権をむさぼろうとしている者達を許さないネットワークを作りましょう。そして、「戦争不況」に備えて、労働組合(ユニオン)に集いましょう。

(チグリスのカモメ)

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2003年3月16日通信

 2003年春のホットラインを終えて

 NU東京恒例の春の労働相談ホットライン(今年は「働く困りごと!労働相談全国ホットライン)が3月6日から8日の3日間開設され、全国からの相談63件(うち東京受付は35件)が寄せられました。

 NU東京にとっては1998年2月27日に労働組合を結成した直後の2月28日から「倒産・リストラホットライン」に取り組んで以降、8回目の主催(共催含む)ホットラインとなりました。

 昨年は、事務開設・移転の力を裂かざるを得なかったので、春のホットラインに取り組めなかったので昨年との比較は出来ませんが、1昨年(2001年)3月の、第3回「若者リストラ全国ホットライン」(相談件数73件)との比較をしてみたところ、注目すべき傾向がでています。

 相談が30代と50代に集中。そして管理職からの相談が大きく減る

 まず、労働相談を寄せる年代が30代と50代に集中していたということが上げられます。この傾向は、日常的に行っている労働相談でも現れている傾向で、昨年秋から、外資系、比較的高収入の30代(特に女性)に対する、退職勧奨や減給(年俸制契約時の減額含む)が目立ってきていました。いわゆる「バブル期入社組」の最終的整理が行われ始めたのでは?との感もあります。NU東京が結成された1998年当時は、「バブル入社組」の余剰人員整理や関連会社への「追い出し」が盛んに行われていたのですが、現在の状況は、生き残った30代労働者に対してもきつくなっています。比較的高給であること、外資が撤退し始めていること、より若くて能力的に劣らない20代労働者が台頭していること(加えて買い手市場で)などが大きな理由であると思われます。

 つぎに、50代労働者からの相談が目立ったこと、実は、このことは「管理職」労働者の相談が目立って少なかったことと合わせて分析する必要がありそうです。50代の労働者はリストラ、成果主義、年俸制などなど・・・で、パンチドランカー状態に陥っていますが、それでもなんとか会社にしがみついてきた結果、会社が不況に耐えられなくなって、最後の人員整理を行い始めたのではないか?と感じられるのです。特徴は、「必要な労働者」も切り捨てざるを得ない」ということです。また、この間のリストラ、人員整理で揉まれに揉まれ続けているうちに、いつのまにか「管理職」が減少しているのではないか?とも思われます。

 以上に述べた現象については、今後分析を続けていきたいと思います。

(ツグミ)

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2003年2月11日通信

サービス残業も、大幅減給も、根は同じ

 高い失業率のもとで、いまもサービス残業が横行している。また、一方では2割、3割という大幅な減給を会社から通告される問題が頻発している。

 サービス残業の問題については、労基署に逮捕される経営者が出るなど(労基署の逮捕権は伝家の宝刀で、めったに使われない)、いまや放置できない問題になっている。政府がいくら雇用創出やワークシェアリングの可能性を求めても、サービス残業が横行する限り、雇用は創出されないからだ。おまけに、政府として「雇用創出」に期待を寄せている(「寄せていた」の過去形?)IT産業や、福祉・介護などに、最もサービス産業が蔓延しているのだから、労基署も重い腰を上げざるを得ないのだろう。

 ところで、「サービス残業がだめ」なら、どのような事態が発生するのか? 経営者が考えて、すぐに思いつくのは減給・賃金のカットである。サービス残業の横行と大幅減給の頻発は根が同じなのだ。NU東京の事務所には、2割、3割、5割という賃金カットに直面した人たちが、その対処法を求めて相談電話を寄せる。

 「年末に社長が、突然「仕事がないから、全社員2割カット」と言った。そして、今年から一方的にそれを始めた」とか「3割カットを認めるか、辞めるかを迫られている」とか!

 仕事があるときには、早出やサービス残業で賃金をごまかし、会社の業績に陰りが出ると、今度は有無を言わさぬ賃金カットである。労働組合なんか無いから、あるいは労働組合は会社の言いなりだから、会社の労働条件の不利益変更に対処できない。なにしろ、あのトヨタでさえ、儲かっているのに、「立派な」労働組合があるのに、サービス残業が横行し、賃上げがないのだから・・・。

 会社が、労働者にとって「不利益変更」になる大幅な減給を、簡単に行えるのはなぜか? 零細企業では、賃金規程が存在していないところが多い、中堅企業でも労基署に届け出ている就業規則や諸規程と実際の運用が違うことが多くある。経営者と労働者がきちんと雇用契約を結んでいないことも多い。口約束だけということもある。

本当は、賃上げだって、いい加減だったのだ!

だから、本当は「賃上げ」だって、いい加減だったのだ。「会社が儲かったから、労働者にはこの程度還元しよう」などと、適当に「賃上げ」をしていた(上がる分には、不満は大したことはない)し、儲かるときには賃金を上げるが、業績が悪くなったら大幅に下げることができる(と経営者が思っている!)「年俸制」にもしていた。なんとなく「年俸制」に移行されていた人も多いと思う。だから、同じように減給する。基準や規程がないから、会社が困った分、経営が厳しい分だけ、「思い切って」減給する。「年俸制」だから簡単(ではないのだけれども)に大幅減給する。

 そして、経営者は言う「この減給を認めてくれないと、会社はつぶれてしまう。認められないなら、会社を辞めてほしい(たまには、「転職の手伝いをするから」などと言う)」「会社の役員だって減給しているのだから(そりゃ当たり前でしょ、責任あるのだから)」と。

 あの、会社が儲かっていたときのお金、社長が「高額納税者番付」に載ったときのお金、社員にわずかばかりの昇級をしてくれていたときの金はどこへいった? と調べてみれば、社長の親族の資産に化けていたり、怪しげな金融商品に投資して無くなっていたりする。

 「無給、無手当で働いたらどうか? 社長さん。オーナーさん」と言いたくなる。そして、社員にも、こんな事にならないように、労働組合を作っておかなければね。 とも言いたくなる。組合作り(組合加入)も、労働相談と同じ。状況が悪くなってからでは遅い。会社が安定しているとき、怪しい兆しが見え始めたときに作っておく(加入しておく)のがベスト。

(メジロ)

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2003年1月11日通信

寒い年明け。残業問題について少しだけ考える。

 年明け前から寒い日が続いています。世界各地から「記録的寒波」に関するニュースが伝えられていますが、これは「地球温暖化」と、どのように関係しているのか?と、そのほうの知識に疎い者としては考えてしまいます。

 東京は、三が日の全てに雪を見るという、例年になく寒いお正月でした。ただ、NU東京の事務所がある千駄ヶ谷5丁目周辺は、新宿南口のタイムズスクエアーと明治神宮のほぼ中間地点に位置するため、人通りや交通量についていえば、正月は非常に多く、それなりに華やいでいました。みんな初詣でどんな願い事を「神頼み」したのでしょうか?

 「景気の回復」はありそうもなく、失業率は上昇する一方です。今年が長期停滞経済の下で労働者にとって極めて厳しい年になることは間違いありません。一方には、超大国アメリカの「威信」と「国益」をかけてのイラクへの軍事侵攻(戦争)があり、また国内では絶望的な財政をごまかすための消費税率大幅アップの検討が始まっています。北朝鮮の核問題と、独裁政権下における人民の飢餓問題も大問題になってきました。2003年は戦争と労働者困窮の年になってしまうのでしょうか?

 国家・世界を考えていると深く落ち込んでしまいそうなので、身近な話にテーマを変えます。

 まず、昨年来労働基準監督署によって、残業代未払いに関する摘発が続いています。日本のお家芸である「残業代未払い(残業割増無視も含む)」や「サービス残業」の摘発に、ようやく本腰を入れ始めたのか?と思いたいのですが、その背景には、次のような事があると思います。

労働行政側の目論見があるから、企業へ圧力をかけている

 労働基準法の全面改悪とも関係して、労働行政当局や、新しく労働力産業に参入する者達(新興経営者や外資)は、労働力市場を、より「自由化」すること、多様な雇用形態を生み出すことで(解雇も自由化することで)なんとか就業率をアップして行きたいという考えが強くあるということ。そのためには、企業が「伝統的」に、サービス残業や不法残業を強いている現状を放置できない(これがある限り、失業率は減らない)ということです。もちろん、リストラでぎりぎりに人員整理された後、生き残り組に強いられている残業が人権や命を脅かし始めたという危機的問題もありますが、とにかく、残業を止めさせて、企業に対して「仕事を出せ」と圧力をかけているということだと思います。

 労働力を必要な時に必要なだけ手に入れる労働力市場の形成が急がれているという事です。これは、コアになる社員や有期契約社員、派遣社員、パートといった多様な雇用形態を生み出すために、多様な雇用トラブルが発生する可能性があります。だから労基法も全面的に見直して(改悪して)、これに備えていくというのが、今の流れです。だから、いままで、あまり頼りにならなかった労基署が悪い企業を摘発した!と単純には喜べない面があるわけです。

 しかし、企業側が残業問題について神経質に成っていることは確かです。労基署の目論見は目論見として、このような時に、残業代の未払い分(時効は2年ですが)をきちんと要求したり、デタラメな形でまかり通っている「残業の慣例」を問題にしたり、違法残業を止めさせたりしてみましょう。これは労働組合(ユニオン)に加入して行うのがベストです。

ついでながら、以下のことを確認して下さい。

1、労働契約や雇用時の約束に、「残業代は払わない」としていても、残業が発生したら払わなければならないということ(法律が最優先です)。

2、残業命令が無ければ残業にはならないが、企業が残業を強いるような状況・環境があれば残業は発生すること。

3、年俸制でも、1日8時間以上働けば残業が発生すること。

4、労働者の過半数を組織する労働組合か過半数を代表する労働者の代表との書面での協定がなければ企業は残業をさせることができない(労基法36条)。

5、残業割増は8時間を超えると25%増し以上、午後10時以降は50%増し以上であるということ。

(神宮のカラス)

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