■記録の残し方
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★世界的な経済の混乱が労働者の生活を直撃しています。「業績悪化」を理由として、雇用契約や会社の諸規定を無視した解雇予告や退職勧奨が多発していますが、まず問われるべきは経営者の責任です。労働組合(ユニオン)に加入して会社と交渉の場を持ちましょう。
ある日、会社に出社すると、上司が「ちょっと○○さん」と呼んだ。
私が上司に呼ばれるままに、会議室に行くと、
上司は「○○さん」辞めてくれないか。
と、突然切り出した。
さらに上司は言った。
「理由は分かっているだろう」と・・・・。
しかし、私には辞ろと言われる理由が納得できない。
1、まず事実を確認しましょう
「退職勧奨」なのか「解雇」なのかを確かめましょう
@それは上司の個人的見解?それとも会社が決めたこと?
人事権を持たない上司の個人的見解ならば、それはあくまでも個人レベルのことです。気にくわない部下を辞めさせるための発言かも知れません。このような個人的な発言には、会社を辞めるつもりがないならば、はっきりと「辞めません」と言いましょう。
A「辞めてくれ」って、「辞表を出せ」ということ(つまり「自己都合退職=辞職を求めていること)?それとも「解雇にする」ということ?
上司の個人的な見解でなく、使用者(会社や団体など雇用する側)の決定として「辞めてくれ」と言われたとなると、ことは重大です。まず、それは解雇なのか?それとも退職勧奨すなわち、あなたの辞職を求めているのか?を確認しましょう。
「解雇」と「辞職」は大きく違います。それは使用者とあなた(すなわち労働者)の間に結ばれている労働契約の解約について、使用者とあなたのどちらに責任があるのかという問題があるからです。解雇の場合、責任は使用者にありますが、もしあなたが辞表を出して職場を辞めれば(辞職すれば)、その責任はあなたにあると言われかねません。
それに解雇の場合は、あなたが求めれば使用者は書面で「解雇理由」を示さなければなりません(労基法22条)し、即日解雇は30日分以上の平均賃金を支給しなければなりません(労基法第20条)。
しかし辞職する場合は、辞める責任はあなたにあるので、使用者は理由を示す必要がないのです。逆に期間の定めのない労働契約の場合、使用者に対して2週間以前に予告しなければならないし(民法627条)、期間に定めがあるときは辞職による使用者側の損害を請求される恐れさえあるのです(民法628条)。
「解雇」と「辞職」、責任の所在が大きく異なります。
また、この他に使用者と労働者(あなたのこと)間で「労働契約の合意解約」を行うときもあります。この場合は、その合意解約にあたっての「合意書」(「覚書」とか「確認書」でも同じ)の内容によって責任のあり方が異なります。
※事実経過や事実については、忘れないように記録・メモを取っておきましょう。メモには「いつ」「どこで」「だれが」「どんなことを」「どのように」「なぜ」行ったかなどを具体的に書いておきましょう。また、労働契約に関する資料はなくさないようにしましょう。
2、退職強要に屈しないようにしましょう
時には、あなたが辞める意思がないのに「辞表を書け!」(つまり「辞職しろ」)と迫られる事すらありますが、これはもう退職勧奨ではなくて「退職の強要」に他なりません。しつこく精神的に負担になるほどに「辞めてくれないか」と繰り返すことも「退職の強要」と言えます。威迫や強要によって他者の意思を変えるように迫ることは基本的に認められませんが、現実的には多くの人たちが、この退職強要によって「辞表」を書かされ、結果的に使用者側が辞職の責任を問われないで済んでいます。退職強要には決して応じないことが基本です。
時には「解雇」という言葉の響きを悪いと感じてか、使用者側が「人員整理のための退職」とか「会社都合による退職」として、使用者とあなたとの間で合意書や確認書を交わそうとすることもありますが、これは労働契約の「合意解約」を求められているということで、あなたがそれを求めないのであれば合意する必要がありません。
※圧力をかけられて不本意ながらも、退職合意を交わした場合、あるいは「辞める」と返事をしてしまった場合は、直ちに、内容証明郵便などで「辞める意志がない」ことを会社に通知しましょう。
3、「辞めてくれないか」と言われたときのポイント
@それは解雇なのか、辞職を求められているのか、あるいは合意解約を求めているのか
A解雇以外は、あなたが求めない限り(同意しない限り)行えない
B解雇の場合、あなたが理由を求めたら使用者は理由を示す義務がある
C正当な理由のない解雇は「不当解雇」である
4、以下のことも押さえておきましょう
@本意でない辞表は書かない。本意でない辞職には合意しない
A解雇は使用者に責任がある。解雇理由などは明らかにさせる
Bそして、一人で悩まないこと
☆一人で悩まないで下さい。中途半端な知識で対処しないで下さい。
解雇、退職勧奨、合意解約については、さまざまなケースがあります。労働組合(ユニオン)や信頼できる弁護士、行政機関に相談するようにしてください。また、行政機関に相談するときは、相談に応じた責任者の名前や役職を必ず確認しておきましょう。
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2010年10月25日
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