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働局総合労働相談、労政事務所・労働相談センターなどの

公的労働相談機関利用時のポイント

 労働条件問題・労働環境問題については、職場の労働組合が対応するのが基本ですが、現実には労働組合が存在していない、あるいは形式だけは存在していても機能しておらず、雇用を巡る問題に対応できない場合が多いくあります。

 そこで、労働者が雇用トラブルを抱えた場合、問題解決のため利用するのが労働局、労働基準監督署、労政事務所(労働情報相談センター、労働センターなど呼び方は様々)に相談の場を求める人が多くいます。

 しかし、「相談したことでかえって不利になった」「自分は悪くないのに会社に謝まることを迫られた」ということが発生することもあるのです。また、相談目的に合った機関でないところに相談に行ってしまい(たとえばハローワークに不当解雇を訴えるなど)、時間を空費することもあります。相談の持って行き方がうまくいかずに「門前払い」されるケースも見受けられます。

<注意>インターネットなどで知った「労働相談窓口」に働相談を寄せたところ、「相談料」を求められたら、弁護士や社労士(内容によっては司法書士)でない限り「違法」の疑いがあります。これは「労働組合(ユニオン)」を名乗っている団体でも同じです。労働組合が、組合外の人からの相談について労働相談料(あらゆる名目の)を受け取ることはありません。

公的労働相談機関はどのように利用すればいいのでしょうか?以下に利用にあたってのポイントを幾つか挙げます。

1、目的を明確にする

 目的を明確にしておきましょう。「不当な解雇を受けた」「賃金(残業分含む)を払ってもらえない」「仕事によって病気になった」などという場合、その事実を伝えるように努めましょう。感情的な物言いや、上司や社長の人格的あるいは性格の問題などは(たとえ事実がそうであっても、とても言いたくても)必要以上に話さないようにしましょう。とにかく事実を示すことです。

2、お任せはダメ!

 公的労働相談機関の場合、例えば東京都の労働相談情報センターなどは年間に10万件近い相談を受けています。労働局も同様な状態です。このような状況下では、一件一件の相談について十分に対応できません。「早期」かつ「円満」な処理がはかられる一方、問題を単純化しすぎる傾向が出てきます。

 また、全国にある労働基準監督署(労基署)には法的知識や経験が豊かな監督官が配置されています。ただし、労基署は労働基準法などの遵守を監督するところなので、相談に行くときには監督官にわかりやすい客観的な証拠を持っていくことが必要です(労災・職業病の問題、有給休暇問題や残業問題・労働時間をめぐる問題などなど)。

<注意>労働基準監督署は、労働基準法、労働安全衛生法、労災保険法が守られているかどうか、指導・監督するところで、これらの法律の違反に関して申立する場所です。したがって労働契約法や派遣法については「管轄外」になります。労働基準監督署に相談に行って、「労働局」の相談窓口を紹介されたら、それはその案件が「管轄外」と判断されたということかもしれません。

3、裁判でもしたらどうか? と言われたら

 時として公的相談機関の担当者が「裁判でも起こしたらどうか?」などと、アドバイスをするときがありますが。これは「裁判になれば、必ず勝てる」ということではありません。「うちでは解決が難しいから、裁判でも起こしたら」「労働局の扱える問題ではないので、裁判をしたらどうか」程度の発言の場合が多くあります。または、「労働契約法が守られない」という相談を、管轄外である労基署にした場合も「裁判をしたらどうですか」という答えが返ってくる事があります。

<注意>「労基署に言われたから」(実際は労働局相談窓口での相談で、「裁判という方法もある」あるいは「裁判は出来る」と言われているケースがほとんど)と、自身の雇用トラブルに関して裁判を起こし(少額訴訟を含む)、判決が下されてから、あるいは判決直前や和解の最中にの相談では、労働組合でも十分な対処は出来ません。また、債権取り立て問題(消費者金曜対策)系の「弁護士」事務所に相談に行く方も多く、ミスマッチな場合もあります。行政や弁護士会が行う「無料相談」を、いくつも受けて、情報過多になり、結局、貴重な時間を空費するケースも目立ちます。労働問題は労働者・労働組合の立場に立った活動を続けている弁護士労働組合(ユニオン)に早めに相談しましょう。

<注意>「『人権派』の弁護士だというので安心して任せたのだが・・・」と、後になって嘆く方がいますが、そもそも弁護士である以上、全ての弁護士は「人権派」「社会派」なのです。逆に言えば弁護士に「先生は人権を守りますか?」と質問したら、弁護士はYES以外には答えられないのです。また、「弁護士に任せる」という発想も間違いのもとです。労働組合の側に立ち、労働問題を多く扱う弁護士は、雇用トラブルを抱えている方と協議しながら共同作業のような形で裁判を進めていきます。

4、労働局での相談は、慎重に(不安を感じたら他所に相談も可)
 文書の提出は慎重に!

 労働局での相談(総合労働相談コーナー)は、その性格をふまえておくこと。※労働局の「あっせん」などは使用者に対して強制力を持ちません。※あなたの相談に乗ってくれる担当者が、あなたの「味方」でないこともあります。

 全国各地の労働局の相談窓口(総合労働相談コーナー)にいて、相談に対応する人は、「監督官」などではありません。臨時に雇われている社労士資格を持っている人や企業の元人事・労務関係者などです。労働組合側の人はまず居ません(最近、不当な退職強要を行っている会社側人事担当者が、「労働局での相談」を社員に勧めるケースすら出てきました)。そのような場合は、おのずと問題解決の方向性が企業寄りになります。

 はなはだしいケースとしては、職場ぐるみのセクシャルハラスメントを受けた問題で相談に行ったら、一人で本社に行って、ハラスメントの当事者を含む人事担当と話し合うようにアドバイスされたケース、自分が悪くないのに「私のいたらない点があった」という内容の会社宛文書を書かされたケースもあります。また、「(適齢期なのに)なぜ結婚しないのか」などとプライバシーに触れる問題まで「助言」されたケースや、本来請求できるはずの残業分未払い賃金額を「低め」に設定して交渉するように求められたり(この場合は文書で会社側に提出してしまったために、それが最大限要求になってしまいました)、不当と思われる解雇予告をめぐる問題であったにも関わらず、数ヶ月も労働局で未解決であったために、解雇状態が固定してしまったというケースすらあります。明らかに会社の行為が不当であるにもかかわらず、「転職したらどうか」などと平然と語る「相談員」には、はっきりと「おかしい」と告げましょう。労働局は「公的機関」です。違法状態や、不当な行為を認めるような姿勢は正されるべきです。

 おかしい?と思いながらも、公的機関の助言だからと思い、事実と違うことや、自分にも非があるかのような文書を残してしまうと、後々(たとえば問題が裁判にまでも持ち込まれるような場合)大変苦労をしてしまいます。くれぐれも納得できない文書等は作成しないようにしましょう。たとえ労働局側のアドバイスでも会社に提示しないようにしましょう。
※注意※ とくに、「退職届」「退職願い」「雇用契約書」などの、直接雇用に関わる文書については、たとえ、「交渉を進めるために必要」などと、労働局の担当者からアドバイスしされても、その内容が最終的な「合意書」にあれば良いのですから、基本的には合意書作成前には提出しないようにしましょうたとえば「合意のための必要書類」などと言われて、事前に退職届を会社側に渡した場合、その後に交渉が不調となり、和解が成立しなければ、結局は「退職届」だけが経営側にわたってしまう形になってしまいます。

 後に、相談対応の問題が生じたときのために、相談に対応した人の名前と肩書きを聞いておきましょう。これは問題が多いのでは?と感じたら、その相談内容はメモなどに残しておきましょう。

※労働局での相談については、労働組合関係者や労働問題を多く扱っている弁護士、さらには公的機関の関係者からも問題点が多いとされはじめています。

5、次の職を紹介しようとする場合もあるが、納得がいかないなら応じない。

 最近、東京都の労働相談情報センターに雇用トラブルを巡って相談を行った際に、「求職活動をするようにアドバイスされた」との声が多くなっています。

 相談した労働者が、次の職を求める場合なら構いませんが、明らかに不当な解雇などの場合、これでは不当な行為を続ける会社を助けることにしかなりません。不当な解雇に遭うたびに転職を勧められてはたまったものではありません。離職する意志がないのに、離職票のもらい方をアドバイスされて、会社から離職票を受け、その際に退職を合意させられてしまうことだって起こり得ます。

6、長引くようならば、相談を打ち切る。

 特に労働局での相談に見られることですが、労働局による「助言・指導」あるいは「あっせん」を行っても、なかなか解決しないことがあります。そのような時には、早めに切り上げること。

 個人の雇用トラブルに対応している労働組合(ユニオ)に相談をするか、弁護士に相談するか(弁護士は、労働弁護団などの、労働者側の利益を守る弁護士にしましょう)次の手段を考えましょう。

 最近、労働局での中途半端な交渉が、労働者にとって大きなマイナスになるケースが目立っています。労働局の相談受付担当者は、「相談解決の窓口は労働局だけにしてください」と強調します。確かに「あっせん」などの最中は窓口は労働局になりますが、担当者のやり方に不安を感じた場合は、労働組合や弁護士に相談をしてもかまいません(労働局には、経営対しても相談者対しても、強制する権限は与えられていません)。

★基本は、不当なことは「不当」と言うこと。他人任せにしない、ということです。

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