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 労働組合は、会社(使用者)から独立していなければなりません。自立(会社からの自立)、自主、自治が活動の柱になります。

 働く人々の闘いの成果

 歴史のなかで、労務の提供者(それが奴隷であれ、近代的な労働者であれ)は折にふれて、自分達の労働条件を改善するように使用者側に働きかけてきました。労働者たちは各時代の為政者や、力の強い雇用主・使役者による弾圧を受けながらも仲間を集めて、行動し、闘い、そして要求内容を獲得してきました。
 例えば、紀元前ローマの奴隷たちは幾度となく大きな反乱を起こし、自らの待遇の改善を求めてきました。また、ローマ市民であった兵士達も、時として自分たちの要求を為政者に認めさせるために死を覚悟しながらも団結してストライキを行いました。1日8時間労働制は19世紀末にアメリカやヨーロッパの労働者が団結をして多くの犠牲者を出しながら初めて勝ち取りました。この8時間労働制獲得闘争の歴史は5月1日のメーデーの起源にもなっています。
 
 ますます必要性が高まる労働組合
 
 いま、「経済のグローバル化(ボーダレス化)」とか「(経営)の合理化/効率化」が当然のように語られています。しかし、その一方で労働者の働く条件は世界的に悪化してきています。本来「働く」ことや「経済的なこと」は最も人間的な行為であり、そのシステムなのにも関わらず、働いている者達が大きなマーケット(労働力市場など)のなかで、不利な立場にある現実があります。なぜこのようなことが起こるのか?一番の理由は、私たち働く者が「生身の人間」であるということです。私たちは機械ではなくまた機械を動かすソフトウエアでもありません。食べて、寝て、休んで、楽しんでということを行う主体としての人間です。そして、この人間が今の世界の富を生み出し続けているのです。この富の循環が「経済」といえます。
 この経済の主体であり、生身の人間である私たちが、もし「経済」から疎外されているとしたら本末転倒といえます。経済システムの一つである会社・法人が労働者に不利益を与えることは本来おかしなことです(ブラック企業など本来存在が許されないのです)。
 だからこそ、労働組合が必要です。とくに生産することとそれを流通・サービスすることが世界的な経済システムの中で見えにくくなっていて、ただ企業の利潤追求だけが優先するような今日においては、生身の人間の働くことについての要求を明確に示し、労働者を雇う側と交渉する主体である労働組合(ユニオン)の役割と必要性はますます高まっているといえます。

 労働組合加入や労働組合活動を理由の不利益は違法

 みなさんは、日本国憲法に「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。(第28条)」と明記されていることを一度は見たことがあると思います。わたしたちが自らの働く条件(労働条件)について経営者に要求するとき、一人ではなく仲間を集め、要求を整理し、団体をもって経営者と交渉することを憲法は保障しているのです。そして、この日本国憲法の条文は以上に述べたように、長い歴史の中で労働者たちが仲間を集めて行動し、闘いつづけた歴史・成果が日本の憲法に反映されているということなのです。
 日本国憲法第28条を受けて、労働組合法は冒頭で「労働者が使用者との交渉において対等な立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること」と述べて労働組合活動のアウトラインを示しています。
 私達が一般的に「労働組合」と言う場合、この法律に示されている「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合体」(労働組合法第2条)のことを言います。
 労働組合は、要求を獲得するために仲間を集めて会議開催し(最低年1回は組合大会開催し)、必要に応じてストライキをふくむ労働争議権を行使します。労働争議行為とは、「(当事者としての労働組合が)その主張を貫徹するために、業務の正常な運営を阻害すること」(労働関係調整法第7条)で、労働組合に認められている権利です。労働組合の活動に経営者が介入することや、労働組合を差別すること、組合の要求する団体交渉を拒否することは「不当労働行為」として、労働組合法第6条で禁止されています。

 組合結成・加入しなければ活用できない労働法

 では、なぜ私たちは労働組合に加入する(あるいは結成する)のでしょうか?
 労働組合は労働者が自主的に結成し、自主的で民主的に運営されるものです。日本では憲法28条に基づいて労働組合法がその活動を保証しています。
 しかし、労働組合法に定められた諸条項は労働組合を結成し、または労働組合に加入している労働者、あるいはそれを目指している労働者にだけ適用されます。これは労働基準法や労働安全衛生法などの法律と大きく異なります。たとえば、労働基準法は労働条件としての最低基準を定めていますが、この労働基準法で定められている有給休暇日数や時間外残業の割増のことなどはすべての労働者に適応されます。使用者はだれでもこの労働基準法を守らなければなりません。
 一方、労働組合法は労働組合(労働組合の組合員)以外には適用されません。労働組合はより良い労働条件を求めて仲間を集め、経営者と交渉し(団体交渉し)、その結果を労働協約として結んで実現します。労働条件の向上を実現するためには労働組合に加入する(結成する)必要があるのです。大切なことは労働組合はその結成と活動が保証されているということです。結成せず(加入せず)また活動をしない労働者には労働組合としての権利が保障されないのです(一定の条件下では、過半数を占める労働組合が経営者あるいは経営団体と合意した内容が、他の労働者に適用される)。これは世界的なルールです。

 労働組合は、さまざまな労働者によって作られている

 労働組合(ユニオンと呼ばれることも多くあります)は、使用者(経営者)側に立つ者以外は誰でも結成することができます。一般的に言われてきた「管理職は組合に入れない」ということも俗説であり、正しくありません。労働組合の自主性を保障するために、人事権のある者や経営者が労働組合に加入することができないということです。たとえ肩書が○×部長であっても実際には一般の労働者となんら変わらない場合や、人事に携わっているといっても重要な配転や、採用に発言権のない管理職などは、当然労働組合に加入できます。
 また、正社員でない(パート、臨時)から労働組合に加入できないとか、国籍が違うから加入できないということもありません。また、出身地や性別によって差別されることもありえません。

 会社・職場単位でなくても労働組合に入れる

 労働組合は複数の労働者で作るものですが、同じ企業・事業体の者だけで作らなければならない、ということではありません。。
 労働組合は、あくまでも使用者と独立し、自立して運営されていなければならないものであり、「A株式会社」という企業・事業体の労働者が「A株式会社」という企業・事業体の労働者で作る労働組合以外に加入できないということはありません。さまざまな会社・事業体に働く労働者が集まって労働組合を作ることも可能です。このような労働組合は「合同労働組合」と呼ばれています。現在、全国各地で労働基準法違反事例や、労働組合作りの問題等、さまざまな問題に取り組んでいる「地域ユニオン」は、そのような組織です。また、「管理職ユニオン」(東京、関西など)のように、いままで組合から排除されてきた人達に門戸を開いた合同労働組合もあります。
 これらの「ユニオン(合同労働組合)」は、会社・事業体が違っても一人でも加入できるところが大きな特徴になっています。日本国憲法や労働組合法によって保障されている労働組合としての「団結権」や「労働争議権」は、そのユニオンにあり、たとえ一つの企業・事業体に一人の組合員しか存在しなくても、労働組合(ユニオン)は、その企業・事業体と団体交渉を持つことができ、ストライキ権を行使することができるのです。労働組合(ユニオン)は一つひとつの企業・事業体から独立しているのです。
 私達、NU東京(労働組合ネットワークユニオン東京)は、このような、一人でも加入できる労働組合(ユニオン)です。そして職種や業種そして雇用形態にこだわらない労働組合です。

(2016年6月13日)

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