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「成果主義賃金」「実績主義」の導入、

それによる不利益には泣き寝入りしない

「成果主義」の名の下に、降格・減給や、給与・賞与などの労働条件ついて不利益変更が行われることがあります。どう対処したら良いのでしょうか?

最近、安倍自民党政権のもとで、残業賃金未払いと抱き合わせの、「成果主義」が再浮上しています。それは労働者にとって最悪のシナリオです。成果主義なるものの中身は、労働者の酷使に他なりません。

 ところで、成果主義とはなんでしょうか?
  「我が社は成果主義を導入したから、業績が上がらない社員は減給する」とか「会社の業績が悪化したので、成果主義によって一時金(賞与)は大幅にカットする」などというのは、実は成果主義ではありません。前者は単なる業績主義であり、後者は、単なる経営不振です。
 成果主義は、会社あるいは所属部署の方針が示され、その実現に向けて一定の目標を定め、その目標が達成されたかどうかで、労働者の給与、昇給などを決める労働条件決定システムだといえます。しかし、この成果主義導入に当たっては、目標設定について客観的・合理的基準があることが絶対的に必要であり、成果主義の対象になる働くものの合意も必要です。当然、目標設定に当たっては、会社の情報開示が必要になります。単なる上位下達は成果主義とはいえません。つまり、就業規則すら見せず、雇用契約内容も無視するような会社では、成果主義はあり得ないのです。


 弊害が多いとされ、破綻している。
 ところで、バブル経済崩壊後、いち早く成果主義を取り入れた富士通は、その弊害が多いとして、すでに成果主義をやめています。また、2002年7月には、(財)社会経済生産性本部が成果主義の弊害を指摘しています。
 しかし、日本の企業の8割が成果主義を導入しているといいます。これはどういうことでしょうか?答は簡単です。それは成果主義でなく、単なる業績至上主義であったり、資格・能力給なのです。時には、ベテランになったから給与を上げるというような「年功賃金」的なものまでも、成果主義と呼ばれています。


 経営者が成果主義・実績主義を言い出したら?
 まず、成果主義によって何が変わるのか?ということに気をつけましょう。
 賃金が安くなったり、労働時間が増えたりすることは、労働条件の不利益変更になるので、労使間の合意が必要です。成果主義が、単なる不利益変更の隠れ蓑として使われることもあります。不利益変更を認めたくないなら、はっきりと「認めません」と主張しましょう。
 年俸制の導入とか、人事評価制度の導入とか、雇用システムの大幅な変更がなされる場合もありますが、この場合も「成果主義」の名に惑わされず、その実態を見極めて、分析していきましょう。とくに年俸制賃金への変更や、雇用契約期間の変更(1年契約、3年契約など)は要注意です。安易に合意しないよう気をつけましょう。

 外資系では雇われ社長のパワハラの道具。
 外資系企業で、数年単位で日本法人社長や取締役が入れ替わり、そのたびに、新たな役員による人事がパワーハラスメントが行われることがあります。新たな役員達はその役員に都合の良いような「人事評価制度」「成果主義・実績主義給与体系」をどこからかもってきて、これで人事を掌握しようとし、時には退職勧奨を伴う執拗な人事評価面談を行います。これらのことが繰り返される外資系企業では、人事評価システムが数年ごとに変わり、その都度見せしめ的に大幅減給や退職強要の犠牲者が出ます。

 親会社から強いられる場合も多い。
 親会社から、役員が送り込まれてきて成果主義を口にする場合が多くあります。その送り込まれてきた役員も、親会社からきっと成果主義の名の下に送り込まれてきています。時には余剰人員である親会社社員が、自分のポストを得るために、子会社や孫会社あるいは関連会社の社員に成果主義を強いるときがあります。
 このような時には、親会社の情報公開を求めましょう。余剰人員を押しつけられて「成果主義」といわれても、本末転倒の話です。

 
 労働組合に相談を! 労働組合として労使交渉をしよう!
 成果主義をめぐるトラブルがきっかけになり、労働組合に加入した人が、労働組合員として会社と団体交渉を行うと、その成果主義が全く根拠無いものであった、ということがあります。成果主義をきちんと導入してしかも、それを活かすことが出来る会社など、日本にはほとんど無いのです。
 ひとりでは、対応できない場合でも労働組合に加入して、デタラメな成果主義に対抗しましょう。

2014,07,22

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