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労働組合ネットワークユニオン東京(NU東京)

情勢報告と2012年度方針

☆労働組合ネットワークユニオン東京(NU東京)は、2011年11月12日に、全水道会館(文京区)において第17回定期大会を開催し、以下の2012年度(2011年11月12日の定期大会から、2012年11月の定期大会まで)方針を決定しました。

はじめに

 2011年3月11日、東日本大震災が起こりました。震災による死者・行方不明者は2万人近くになり、加えて津波や地震動による街や家屋の破壊は広範囲にわたり甚大で、被災地の復興には長い時間が掛かります。  地震と津波によって東京電力福島原発が爆発事故を起こし、海洋を含め東北から関東にかけて放射能に強く汚染されました。  政府や学者さらにはマスメディアにとって、この大震災は「想定外」とされましたが、その後、これらは「想定外」ではなく、十分予想されるものであったことであり、この間の歴代政府や御用学者によって作られた虚構が崩壊したのだ、ということが徐々に明らかになってきています。「みんな嘘だったんよね」(上杉隆)という事実が、私たちの前に現れました。電力・電機産業を大きなスポンサーとしているマスメディアの姿勢も問われました。  そして、日本は今、震災によって生じた様々な事象に加えて、自民党政権から続き何ら解決されていない労働者の生活と権利に関わる問題、社会的矛盾があらゆるところで顕在化しています。格差拡大の問題、年金・社会保障(セイフティーネット)の問題、国家財政の問題、TPPをめぐる問題、企業の不正・腐敗の問題、そして労働組合の問題。  私たち、労働者はどのように働き、生活し、そして労働組合活動を行えばよいのか?  NU東京が結成されて12年。今後確実にやってくるであろう日本の厳しい時代をどのように迎えるのか? 組合員の一人一人が、このことを考えてNU東京の活動に参加していきましょう。

T 私たちを取り巻く世界

1、変革期・激動期に入った世界

 世界は今激動期に入っています。チュニジアでの民衆による民主革命は「アラブの春」となり、その後エジプトでは独裁政権が倒れ、シリア、イエメンなどアラブ世界では民衆運動が高揚し、これに対する政権側の弾圧も熾烈です。リビアではこの動きの中で欧米が深く関与する形でカダフィ政権が崩壊しました。  EUでは、ギリシャ、イタリアの財政破綻が大きな問題とされています。また格差が各国家間、国民間で広がるなか、生活と権利を守るための労働者の運動が高揚しています。

  パクスアメリカーナを謳歌してきたUSAにおいては軍事(軍事産業)と、金融工学で帳尻を合わせてきましたが、中東・アフガンへの軍事介入・侵攻と投機的資本主義の破綻後は、USAをかつて無い危機的状況にしています。人々の生活は破壊され続けています。社会の1%に99%の富が集中しているという状況に抗して大規模かつ全国的な活動が繰り広げられています。  中国においては、投機的で歪な不動産バブルと物価高騰さらに失業率の増大という危機的状況で、権力者の腐敗と不正、社会的格差拡大に対する労働者・農民の闘いが年を追うごとに激化しています。また、社会の混乱をより大きな力で押さえ込むかのように、「軍」が突出しつつあり、領土・領海をめぐり、周辺諸国との軍事的緊張が高まっています。

  好景気を迎えているように見える韓国は、李明博政権のもとで進められる大企業優遇策(米韓FTA問題は象徴的)により、一部の企業と一部の富裕層への富の集中が進み、社会における格差が大きくなっています。

  世界的に見て新自由主義・市場原理主義の時代は破綻・終焉しつつあります。政治・社会運動を行う人々は新しい社会と経済のあり方(オルタナティブ)を求めています。  私たちは、労働組合に集う者として、このような大激動の世界を労働者の視点で捉え返す必要があります。例えば、ギリシャ危機は労働者の視点で捉えるとどうなるか(本当に「ギリシャ国民に問題がある」のか)? 中国の労働者のストライキや民衆の抵抗運動をどうとらえるのか? ともすれば「国」の問題として考えがちになるこのような問題を、労働組合として(企業活動は国境を越えて展開され、資本は無国籍的に利潤を追求して労使関係を取り結んでいる)、とらえ返していきたいと思います。

  中国のアパレル労働者はどのような状況にあるのか? ギリシャの労働者はなぜストライキを行うのか? USAの地方都市の労働者の生活状況はどのようなものなのか? 世界の労働者の生活をイメージしてみましょう。   

2、日本の状況

 日本は2009年夏の自民党政権の瓦解以降、経済・社会のあらゆる面において大きな変化と改革が望まれましたが、自民党の後を受けた民主党政権は、派手な「事業仕分け」パフォーマンス以外にはなにもできませんでした。労働者派遣法改正(経済界との妥協の産物である最低限の改革)すら棚上げ、選挙用のマニフェストも放棄し挙げ句の果てに内部での主導権争に明け暮れるしまつでした。そして、内部での主導権争いに勝利した菅直人内閣が国民に提示したのは大増税路線。このため菅内閣の支持率は急落し、参議院選挙では民主党が惨敗となり衆参ねじれ現象が生じました。今年3月には、民主党政権は死に体となっていました。

  日本は依然としてセーフティーネットが機能せず、年間自殺者が3万人を超え(東日本大震災の死者・行方不明者と、1年間の交通事故死者数の合計よりも多い自殺者数です)、生活保護を受ける人も204万人と過去最高となり(しかも、生活保護を受けるには行政の高いハードルがある)、失業率は最高水準で高止まり状態です。

  民主党政権のマニフェストは守られず、沖縄には米軍基地があり続け、日米安保体制の犠牲を押しつけられている沖縄の人々には大きな負担となっています。

 3月11日に発生した東日本大震災は、さらに日本のかかえる「防災」「原発」問題を浮き彫りにしました。これまで「想定外」とされてきたことは、すべて想定されるべきものであり、それを想定しなかったのは、原発によって巨大な利益を享受してきた者達(そして核兵器開発につながる物質を持ちたかった者達)、核開発を続けてきた歴代政権の誤魔化しでしかないことがはっきりしました。

  日本各地の原発は利権と嘘に固められ建設され続け、「原子力村」を構成する電力会社、、産業界、御用学者、そして政府・行政当局は原発安全神話で「麻薬」的(一度受け入れると抜けられなくなる)な原発の姿を隠蔽していました(福島原発の爆発事故が進行中の東電、学者の的外れな説明と嘘を忘れないようにしましょう)。さらに深刻なことはこれら「原子力村」をマスメディア(マスコミ)が支えてきたということ、原発事故直後、マスメディアは原発問題の真相を語ろうとする者達に圧力をかけ、番組から降ろしたことです。東日本大震災は「報道・マスコミの死」を意味しました。  震災・津波の被災地では、政府の対応が不十分ななか、様々な団体が救援のためのボランティア活動を行いました。海外からの義捐金や救援・激励の行動も多くありました。

  労働組合も活発に現地での活動を行い、とくに被災地域の合同労組・ユニオンの活動が注目されました。これとは対照的に連合(事務局長は東電労組出身)は、原発事故から数ヶ月経っても原発問題に触れることができず、当初は原発事故について「風評被害」のみを語り、メーデーを自粛するというありさまでした。連合の電力や電機労組の多くは「原子力村」の一員でした。そして、原発事故処理に当たっては、東電の「協力企業」や、契約労働者など、多くは労働組合から排除されている労働者が危険な作業を担いました。東電福島原発事故は、労働組合のあり方を鋭く問うものでした。  菅政権は、原発事故に直面して、全国の原発の安全確認を行い(どこまで行ったかは別として)、もっとも危険と言われていた浜岡原発は停止しました。また、全国各地の原発に於いて、建設・運転に際してのヒヤリングやアンケートの「やらせ」や、電力会社と行政の癒着の問題が次々と明らかになり、反・脱原発の動きが強まりました。原発事故直後から各地で反・脱原発の運動がこれまで同様の運動に参加してこなかった多くの人の参加で盛り上がり、9月11日の全国100万人集会には東京の明治公園に実数で6万人以上が集まりました。

 大震災は、東日本各地に2万人近い死者と行方不明者を出し、津波被災地や、激震が襲った地域では生活の場が失われました。放射能汚染は今後百年以上続きます(物質によっては億年の単位)。「復興」に向けて、様々な提案がなされましたが、いまも多くの人たちが苦しみ、奮闘しています。

  このような中で「東北」「福島」を励まし、応援する声が高まりました。それは大きな力となりましたが、他方では「頑張れ」「頑張ろう日本」という大合唱が起きました。とくに震災直後にマスメディアから盛んに「頑張ろう」というキャンペーンが流されました。これが、「頑張らなかった」労働者を解雇する、あるいは減給するという企業の風潮を生みました(「震災リストラホットライン」には、このような相談が寄せられました)。さらに震災から9ヶ月が経過している現在、この「頑張り」の強要が、長時間労働、過重労働を日本に蔓延させているとも思える労働相談が目立つようなりました。経営者に都合の良い形で「頑張り」が利用されているならば、震災便乗の企業利益追求に他なりません。

 低支持率と震災への対応で疲弊しきった菅内閣の後を受けて、7月に野田政権が誕生しました。その基本は市場原理主義であり、時代を3年も4年も後戻りさせたように、すでに破綻した自民党政治を再現するかのような政策を取ろうとしています。加えて、その手法にも問題があります。

  野田首相は、フランスで行われたG20の場で、日本の消費税を10%に引き上げると突如として「国際公約」を行いました。このことは野田首相がG20に旅立つ直前に国会で行った所信表明演説には触れられていません。そして、消費税率10%の法案が国会を通過した後に「国民の信を問う」と、およそ民主主義とはかけ離れた発言をしています。また原発については基本的に「維持」であり、口先では脱原発としながら、海外へは日本製原発を積極的に売り込むというダブルスタンダード姿勢を取っています。

  民主党政権発足以降、労働分野の諸問題はなんら解決されず、労働者の生活苦は進行し、権利は侵害され続けてきましたが、野田政権がこれを改善するとはとうてい思えません。

  いま、EUの経済危機が進行中であり、それは全世界的な経済破綻へ向かう可能性があります。また、タイにおける大水害は日本企業を直撃しています。過去最高水準となっている円高の影響も深刻です。野田首相の積極的なTPP協議への参加姿勢は、農民、そして民主党の内部からも強い反対に遭っています。

 日本の政治・経済状況は結局、自民党政権時代となにも変わっていない(むしろそれ以上に悪くなっている)といえます。

  10月以降、二つの大企業の問題が明らかになりました。それはなに変わっていない日本企業の状況を表しています。一つは大王製紙。一族経営による同社の社長がラスベガスで100億円以上の負けを出し、それを会社が肩代わりしたという問題です。もう一つはオリンパスの問題。バブル期の投資行為の失敗によって生じた多額(1000億円とも)の含み損を、企業買収を装い、ペーパーカンパニーを通じて「とばし」粉飾し 解消しようとした事件です。経団連の米倉会長はこれらについて「(経営者に)高い倫理観」を求めましたが、もはや精神論でしか語れなくなっているのでしょうか? このような企業不正の問題は日本に蔓延しているのではないでしょうか?

3、日本の労働者と企業内労働組合(会社組合)

 日本経済は1992年はじめのバブル崩壊以降、労働者の生活を破壊し続けてきました。

  日本ではバブル経済を作り上げた政府、金融・不動産をはじめとする企業、そして、バブルを煽った御用学者・評論家の責任が曖昧にされるなか、1993年から20世紀末にかけてはリストラの嵐が労働者を直撃しました。「リストラ」は、はじめは大企業の企業の再編成・大量人員整理としてはじまり、「年功序列」「終身雇用」という日本的労使関係を壊しながら行われ、やがて「リストラ」は「解雇」そのものを意味する言葉となり、陰湿な嫌がらせを伴って企業の規模や勤続年数に関係なく行われるようになりました。私たちNU東京が結成されたのは1998年2月、リストラが若年層にまで及び、不当な解雇、嫌がらせを伴う退職強要が、日本のあらゆるところで行われていた時でした。

  この後、日本社会の「総中流化」は語れなくなり、「勝ち組」と「負け組」が」語られ2000年前後の短期間には、ITバブル、ベンチャーバブルともいえる現象が起き、ヒルズ族が時代の寵児のように登場しました。  1995年には、当時の日経連が、「年功序列」「終身雇用」に代わる「新時代の日本的経営」を打ち出し(すでにその時点で行われていたこと)、成果主義導入と雇用のポートフォリオ(要するに、企業が必要なときに必要な労働力を、労働力市場から得られるシステム)の必要性を主張、この路線に沿って、それまでは原則的に禁止だった労働者の派遣が広範囲に認められ、有期雇用契約労働やパート・アルバイト(いつのまにか「アルバイト」は学生のそれではなく、れっきとした成人労働者の雇用形態になった)労働者が大量に生じました。

  さらに、2001年4月から2006年9月の自民党小泉内閣は、アメリカのブッシュ政権とともに新自由主義政策(市場原理主義)政策を推し進め、あらゆる分野が「ビジネスチャンス」とされ地域社会は「市場」となり、社会保障、医療、福祉などはズタズタになりました。年金制度は放漫な運営で破綻し、格差とワーキングプアが社会問題化しました。また、「派遣」や「非正規」労働により生活苦(孤立感)に陥ったことが原因の、秋葉原事件をはじめとする犯罪も多発し、年間自殺者数は3万人を超えるようになりました。

  しかし、この時期、多くの労働者が苦しむなか(賃金も大幅に下がり続けた)、日本の大企業は「いざなぎ景気を越える」という空前の好況とされました。「好況」を感じることができたのはごく限られた一部の富裕層だけです。  小泉政権移行、格差・貧困が広がる中で、その富裕層の代表格のような安部、福田、そして最後は麻生という首相を持つ内閣が誕生し、自民党政権は終わりました。

 労働者の生活を守り権利の向上をめざす労働組合は、日本の中で影響力をなくしています。大企業と官公労働者を中心とする日本の労働組合の組織率は18%程度にとどまっています。その組合の多くは大企業の企業内組合であり、ユニオンショップを名目として会社と一体になり労働者を管理するシステムになっています。そして、それらの大企業の子会社や下請けの中小企業・零細企業にはほとんど労働組合がなく、そこの労働者は低賃金と過重労働に苦しんでいます。

  また、「雇用ポートフォリオ」によって、バラバラに分断された労働者が労働組合を組織することは難しく、結果、雇用問題・雇用トラブルの多発は、労働関連裁判を増加させ、裁判制度では労働審判制が確立し、行政では労働局による「助言・指導・斡旋」が法的に可能となりましたが、これらはで労働者は個人として経営に向き合う形となり、労働者の団結形態としての労働組合(労働三権の行使)という力が発揮できません。

  このような労働組合の社会的影響力の減退(たとえ、連合を支持母体である民主党が政権党になっても)は、正当な争議・団体交渉に対しての経営側の「損害賠償請求」などの嫌がらせ訴訟や、司法による労働組合活動の軽視にもつながっていると思われます。

  企業内組合の問題は、組合機能を持ちつつ会社側と同一歩調を取る、いわゆる「御用組合」にもならない、会社のシステムとしての労働組合(ここでは「会社組合」とします)が増えいます。このような組合は会社と労働協約を結ぶことで、労働者の権利を低く抑える役割を持ちます。また、このような「会社組合」では組合員にその姿が見えず、雇用トラブルが生じても、労働組合に連絡が取れないという場合もあり、また、NU東京の労働相談受付の事例からは、新たに組合「役員」にされた労働者が、相談の場がなくNUに相談(組合の運営について)の電話をかけてくるということもあります。そして、雇用トラブルに直面した労働者が、これらの会社組合に依ってトラブルを解決しようとすると、とたんに会社組合は、会社の人事・総務と一体になり、当該労働者の排除を図ります(オリンパスの内部告発者への対応は典型的です)。会社組合は労働者に敵対する存在でしかありません。

4、合同労組・ユニオンの活動

 雇用される企業・職場を越えて、一定の条件(地域、業種、職種など)による労働者によって結成されている労働組合を「合同労働組合」といいます。もともとは同じ条件を持つ小規模な労働組合が合同して一つの組合として労働三権を行使する形態でしたが、現在では別々の会社・職場で働く個人個人が「ひとりでも」加入できる労働組合を「合同労組」あるいは「個人加盟合同労組」と呼ぶことが多く、これを「ユニオン型労働組合」(ユニオン)と呼ぶこともあります。NU東京は合同労組であり、ユニオンの一つです(NU東京の場合、職場単位でも個人でも加入できます)。

  ユニオンは、企業内労組、会社組合が労働者の雇用・労働条件、労働環境についての切実な問題に対応できない中、企業・使用者の利害にとらわれない労働組合として力を発揮します。その半面、企業職場内にユニオンの組合員が一人あるいはごく少数(数人)の場合、企業内で要求を実現する活動は工夫が必要になり、創意に満ちた活動が求められます。

  また、ユニオンは企業利害に縛らず、純粋に労働者の権利を主張できるという特長があるために社会問題(労働分野での)などに積極的に関われます。この間、管理職の問題、名ばかり店長の問題、派遣労働者、外国籍労働者・研修生問題、フリーターの問題などに各地のユニオンは積極的に取り組んできました。

  ユニオンは業種・職種的にも特徴を持つことができます。

 ☆NU東京は組合員の4分の1がIT労働者で、IT企業に対する対応のノウハウがあります。

 また公益法人労働者、アパレル関係労働者や技術・研究職労働者が常に活動し、それらの業種・職種からの相談(あるいは渋谷区という地域)、外資系企業労働者や店舗・店員労働者の相談も多いという特徴があります。  東日本大震災においては、東北被災地の「地域ユニオン」が、被災地で奮闘しました。

  いま、日本全国には150近い数のユニオンが存在しています。その活動は多岐多彩です。そして多くのユニオンは仲間のユニオンと連携を取り、連帯をしながら共通課題や労働争議に取り組んでいます。NU東京も、このような全国のユニオンの運動の中にあります。企業内労組、会社組合が労働者の問題を取り上げない、あるいは労働者の要求を企業利害で判断し、時には労働者を弾圧・排除する現在、少数派とはいえユニオンの労働運動は日本の労働組合運動の重要な一翼を担っています。

U 2011年度方針はどのように取り組まれたか

  (略)

V 2012年度(第15期)方針

 2012年度(第15期)の活動では、12年間の活動の成果の上に立ち、現在を「大きな転換期」と考え、新たな時代に対応できる労働組合=ユニオンの活動を追求してゆきたく思います。

 組合員が「労働組合」活動を再把握することが必要です。個々の雇用トラブルについての労働相談から組合に参加した人が多数を占めるNU東京にとって、つねに「労働組合とは?」ということを考え、イメージして活動することが必要です。ユニオンを「(私の)雇用トラブル解決システム」ではなく、労働者が生活と権利を守り、さらに獲得・拡充するための「団結と行動の組織」と位置づけるようにしてゆきます。

  個人加盟を中心とした合同労組としてのNU東京の組織特長を生かしながら、組合員各自の組織運営への参加をさらに求めます。組合員の半数を占める「非通知組合員」の多くが組合活動(組織活動)へ参加するようにします。積極的に職場における活動を推進し、職場組織を作ります(支部、分会活動を強めるとともに、職場の「班」活動も強めます)。  労働者の生活と権利に関わる様々な社会問題、政治課題に可能な限り労働者の立場から取り組みます。労働に関わる法令や行政の方向性については問題があれば、これらの問題を積極的に提起し、あるいは他の組合からの提起を受け、共同行動で積極的に取り組みます。

2012年度活動スローガン

◇共同行動を推し進めよう。三つのネットワーク(職場の仲間、ユニオンの仲間、労働組合や社会問題に取り組んでいる仲間とのネットワーク)で活動してゆこう。職場でNUの活動を広めよう

◇NU東京の活動とシステムを点検し、時代の要請に応えよう。組織を強化しよう

◇NU東京の争議に勝利しよう。組合員の裁判を支えてゆこう。働く仲間の労働争議を支援しよう

◇非通知組合員は積極的にユニオン活動に参加しよう。団結の場としてユニオンを活かそう

◇全組合員でユニオンを運営してゆこう。NU東京の各部会活動を活発にしよう 

◇積極的に学ぼう、調査・研究の力を高めてゆこう。労働者の課題や社会問題について労働組合の仲間と共に学び、分析し、行動しよう、自らを高めてゆこう

◇NU東京の仲間を増やそう、向こう2年間で200名の組合、10年間で500名の組合にしよう ◇労働相談活動に力を入れよう。相談者の立場、労働組合の視点で相談を受けよう

◇日本で外国籍労働者が抱えている雇用問題、権利侵害問題に取り組もう。労働者の視点で世界を捉えてゆこう。海を越えた連帯を追求しよう 

◇派遣労働者の問題(改正派遣法の施行)や有期雇用法制など、労働条件の向上と労働環境の改善のための政策を実現する活動を行おう ◇原発問題、貧困・格差問題などの社会的テーマに取り組んでゆこう

1、職場活動

  職場で仲間を増やす活動を行おう。職場で発生している労働条件、労働環境問題を取り上げてユニオンで分析し仲間を集めることが出来る方針・要求を立てます。支部、分会活動を強めるとともに、「班」活動も強めましょう。

  春闘、一時金団交や、労働環境改善などの団体交渉を組合員間の相互支援で行います。とくに春闘については2011年は大震災と重なり活動が不十分になりその後の活動に影響しました。2012年は積極的に取り組みましょう。また、会社・法人の「年度」によっては「夏・年末闘争」も重要です。また、外資系企業のクォーター(四半期)ファイナンシャルイヤーへの対応も行います。  (以下略)

2、争議、権利破壊との闘い 

1)経営者の不当・不法な行為とは断固として闘います。

2)争議における他組合との共同行動に参加します。共同行動の可能性を常に追求してゆきます。 

3)分析と学習を怠らず、常に争議の問題点・課題を捉え返し勝利の方向性を定めます。 

4)個別の会社・職場の問題を、ユニオン全体の問題、労働者に共通する問題として整理します。 

5)弁護士や各分野の専門家と連絡を密にして裁判・労働委員会、ユニオンが抱えている各課題に取り組みます。

 6)労働組合活動に対して経営が行う嫌がらせ訴訟と闘います。嫌がらせ訴訟問題と取り組んでいる仲間たちと共闘します。

3、ユニオンの組織活動 

1)労働相談活動への取り組み

  ・労働相談研修会を必要に応じて行い、労働相談の傾向・問題点を分析してゆきます。

  ・弁護士、各分野の専門家の助言を得ながら労働相談で新たに生まれた問題(新たな傾向の雇用問題)に取り組んでゆきます。

  ・NU東京へ加入しての問題解決と組合に加入しない形での解決(相談先紹介含む)のメリハリをつけます。

  ・労働相談活動を充実させるための業種、職種、地域のネットワークを作ります。

  ・相談研修を行い、相談を受けることができる組合員を増やします。

  ・土曜相談を定着させるとともに、マスメディアによらない広報・情報発信のあり方をさらに追求します。

2)組合員を増やす活動   (略) 

3)非通知組合員が集い、自らの雇用と労働を考える場としてユニオンを活かします。非通知組合員が持つ課題を整理して学習会や会議を持ちます。友誼組合員の豊かな経験と知恵を活かします。 

4)共同行動・活動の連携  ・積極的に共同行動に参加します。

  ・共同行動の課題を、自らの雇用問題と関係づけて捉え返し、ユニオンの活動に活かします。

  ・労働問題、社会問題などに弁護士、各種専門家、公的機関との連携で取り組みます。 

5)労働組合作り

  ・労働組合作りをめざす相談に対しては、積極的に対応し、他地域の場合は他地域の労働組合の紹介などを行います

  ・NU東京の新たな職場組織(支部・分会)結成に力を入れます 

6)事務局  (略) 

7)ユニオン事務所について  (略) 

8)各専門部会  専門部会活動を活発にします。ユニオンの組合員は専門部会の活動を支えます。  

@広報部会 (前略)ユニオンの活動で明らかになった社会的問題、労働者の共有すべき問題について、おおいに情報発信します。マスメディアに依らない広報のあり方を追求します。  

Aネットワーク部会(渉外) 同じ課題・問題を抱える労働組合と積極的に交流し、共同行動を追求します。労働者・労働組合運動にかかわる新たな問題や重要な検討課題が生じたときは、他の労働組合・労働団体、弁護士、各種専門家のアドバイスを受け対処します。ユニオンの「士業・専門家」メンバーの能力を活かし、問題解決をめざします。  

B企画部会 夏合宿、花見の他に、レクリエーション企画、学習企画を持ちます。「IT」「外資」など雇用形態。業種別に労働者が抱えている問題を整理し、必要な場合は雇用形態・業種別に対策会議を持ちます。会社に非通知の組合員、友誼組合員が参加しやすい企画を立てます。夏合宿の内容をさらに充実させます。  

C労働相談部会 法の改正や、相談で生じた課題に対して有効に労働相談研修会を行います。(中略)必要が生じた場合「労働相談ホットライン」を開設します。  

D争議対策部会 (略)  

EIT部会 (略) 

F調査・研究部会   企業分析、政策課題研究、資料の整理を行ないます。ユニオン活動に必要なテーマを定めて学習会を企画します。   

9)組織体制全般  (略) 

4、年間スケジュール(主なもの)

2011年

11月〜12月:年末要求提出と職場団交  

12月末 事務所大掃除 

2012年  

1月〜4月:春闘への取り組み。各職場要求提出と、共同行動  

1月初旬:事務所開き(鏡開き)  

2月:職場春闘会議(複数回開催)  

3月11日前後:震災・原発事故1周年の取り組み(共同行動)  

3月〜4月:非通知組合員の集い  

3月末〜4月はじめ:花見  

5月1日:メーデーへの参加(各種メーデーへの連帯と参加)  

5月中旬〜下旬 春のレクリエーション  

5月末〜6月はじめ:夏一時金要求提出と各職場交渉  

6月末:夏合宿(6月末予定)  

7月〜8月 非通知組合員の集い  

8月中旬:夏の交流会と夏季事務所閉鎖(8月中旬)  

8月〜10月定期大会準備  

10月:秋のレクリエーション  

11月:定期大会(11月) 

※専門部会活動に関わる会議、行動、催しもの、ユニオン説明会、解決報告会は必要により随時開催します。

 以上

 

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