TOPページへ

解雇ルールの法制化等の            

労基法「改正」についてのアピール

(2003年1月23日 「解雇緩和法案」に反対する緊急集会)

日本労働弁護団 

 厚生労働省は、今次通常国会に、解雇ルール法制化の名の下に、使用者の解雇権を規制している判例法理を後退させ、さらに解雇無効の場合であっても金銭支払による労働契約終了判決の申立権を使用者に新たに付与する等を内容とする労働基準法「改正」法案を提出しようとしている。

  客観的に合理的理由がなく、また、社会的相当性を欠く解雇が無効であることは確立した判例法理である。厚生労働省は、その解雇権濫用法理を法律に明記するとしつつ、「使用者は、労働基準法等の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇できる。但し、使用者が正当な理由なく行った解雇は、その権利の濫用として、無効とする。」との条文を労基法に加える考えであると思われる。

  しかし、かかる条文は、原則として解雇は自由であると解釈される危険があり、また、労働者保護法として使用者に様々な作為を命じたり、禁止している労基法の基本的性格と全く相いれないものである。

  また、金銭支払による労働契約終了判決は、その要件が極めて不明確であり、かつ、労働契約終了時期、労働契約終了と金銭支払との関係などその枠組みすら明らかにされていない。そして何よりも、かかる新制度は「金銭を支払えば解雇無効とされても労働者を職場から排除できる」との風潮を生み、安易な解雇を助長する危険があり、かえって解雇紛争予防との目的に悖(もと)るものとなりかねない。さらに、本来、解雇無効により継続するはずの労働契約について裁判所が終了を宣することは、裁判所が新たな首切りをなすにも等しく、司法に対する労働者国民の信頼を損ないかねず、この点の判断のために訴訟が遅延する恐れも大きい。

  さらに、今次労基法「改正」は、有期雇用の拡大、企画型裁量労働の拡大を図るものであり、物の製造への労働者派遣を認め、派遣期間制限を長期化するなどの労働者派遣法「改正」と相俟って、雇用の安定を阻害するものであることは明らかである。  当弁護団は、かかる労基法等「改正」に強く反対するものである。

※1月23日午後8時45分東京・総評会館※  

TOPページへ   1/23集会について