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Press Release

2009年2月12日

労働組合ネットワークユニオン東京(NU東京)

 2008年の労働相談結果について

年間相談件数は373件(10月以降は127件)  労働組合ネットワークユニオン東京(NU東京)が、労働組合事務所において2008年に受けた労働相談件数は373件(電話での相談が307件、面談での相談が66件)であった。  この件数はNU東京に寄せられた電話あるいは面談相談のうち、「相談カルテ」が作られた件数で、電話の場合1件の相談時間はおよそ10分間から30分間。面談の場合は30分から1時間程度。ごく短時間の電話による問い合わせや(法定有給床日数の確認や地元の労働相談受付組織の確認など)労働問題でない相談などは件数に入れていない。また、派遣労働者から受けた相談は、カルテを作成する前に派遣労働者とわかった場合、専門に相談を受けている組合を紹介するために、派遣労働者からの相談件数は実際に相談を寄せてきた件数が反映されていない(桁違いに少なくなっている)。  373件のうち、309件(83%)は東京・首都圏から寄せられたものであり、次いで首都圏以外の関東・甲信越地域からの相談件数が32件、その他地域19件、地域不明13件であった。  相談場所として、「どのようにしてNU東京を知ったか」では、ほとんどが「ホームページを見て」であったが、知人の紹介、書籍・報道を見て、公的機関からの紹介もわずかながらある。

30〜40代男性、20〜30代女性が多く相談を寄せたが、 10月以降はとくに20代女性の相談が目立って増えた  相談を寄せた方の性別および年齢をみると、30代男性が88件(24%)、40代男性が75件(20%)、次いで、30代女性53件(14%)、20代女性39件(10%)の順で、前年(2007年)11%であった40代女性が5%へと6ポイント減少しているが、他の傾向は前年と大きく変わらなかった。ただし、10月以降の内訳を見ると。127件のうち20代女性が22件(年間39件)で17%と目立って増えた。  男女比では男性64%(239件)、女性36%(134件)で、前年とほとんど同じであった(1ポイント男性が増加)。  労働相談受付件数については、この5年間増え続けているが(04年153件、05年218件、06年257件、07年279件、08年373件)、08年10月以降は、とくに件数が増え、08年の年間相談受付件数373件のうち127件(34%)が10月以降3ヶ月間の受付であった。相談関数の増加は今年1月以降も続いている(1月は50件)。

IT関連業の相談が多かった。とくに10月以降は22%  業種別では、電機・IT関係が最も多く56件(15%)、次いで卸・小売り48件(13%)、サービス48件、(13%)、広告・出版・印刷30件(8%)、医療・福祉26件(7%)、その他製造23件(6%)、機械製造19件(5%)、飲食サービス16件(4%)、金融・保険15件(4%)の順。  当労働組合の名称(ネットワークユニオン)やホームページ情報をもとにしての相談ということもあり、例年IT関係者からの相談が多い傾向にあるが、とくに2008年10月以降は全体の相談件数が127件であるのに対して、IT関係業界からの相談が28件(22%)と増えている。IT業界において、SE、プログラマーという職種で、経済危機の影響を受け仕事がなく「待機」状態が生じるとともに、退職勧奨や解雇問題が発生していると思われる。また、2000年前後のいわゆるITバブル期に起業した会社の経営不振も影響しているようだ。  職種としては、研究・技術職が102件(27%)、営業・販売が91件(24%)、事務が85件(23%)、現場作業(工場労働含む)64件(17%)の順であったが、近年IT関連産業における技術職と現場労働の「境界」が不明確になりつつある。たとえば単純なシステム管理を施設内に寝袋で泊まり込んで行っているような場合や、コンピュータ関する単純業務などは、むしろ現場労働に近い。

退職勧奨問題・退職条件問題が約4割。休職後の問題も目立つ 10月以降は「試用期間内」の会社経営破綻解雇も  労働相談内容について見ると、「解雇・雇い止め」が89件(24%)、退職勧奨・強要が52件(23%)で、この二件をあわせた、いわゆる「会社都合による離職」に関わる内容のものが141件(38%)で最も多く、「いじめ・嫌がらせ」63件(17%)がこれに次いで多かった。また、会社の辞め方や転職の方法および求職方法に関わる相談も44件(12%)と目立った。病気・労災・メンタルヘルス21件のうち、多くは仕事・職場環境によるストレスからの欝あるいは自律神経失調で、すでに発症後長期間休職し、その後の職場復帰問題が目立った。  10月以降の特徴としては、試用期間内における、業績悪化あるいは経営破綻による解雇が4件あった。試用期間をめぐっては、本人の業務遂行能力について「本採用しない」ことについて、あるいは「試用期間延長」についてのトラブルが多くあったが、試用期間内の業績悪化等の解雇(本人の業務遂行能力に関係ない)はほとんどなかった。

人事機能の喪失が問題  ここ数年の際だった傾向として、企業における人事・総務機能の弱体化(あるいは「劣化」)がある。人員の配置や業績評価をめぐって「人事・総務」が現場任せにしていて、従業員間のトラブルの事前防止ができていない。会社のトラブル回避システムが機能しない状況がみられる。中小企業や零細企業においては「人事・総務」が無く、賃金査定において、数年前に目立った「成果主義」「実績主義」なども機能せず、あいまいな「業績悪化」を理由として雇用契約内容を無視して減給が行われている。  団体交渉を組合が申し入れた場合でも、会社に人事・総務窓口がなく対応が混乱するという傾向がみられる(とくにIT業界)。

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